精選版 日本国語大辞典 「エチルエーテル」の意味・読み・例文・類語
エチルエーテル
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一般にR-O-R'の構造で示される物質をエーテルといい、RとR'の双方がエチル基C2H5-のエーテルは、正式にはジエチルエーテルあるいはエトキシエタンであるが、これをエチルエーテルともよぶ。またエーテルの代表として単にエーテルともよばれる。
無色の流動しやすい、きわめて揮発性と引火性の高い液体。刺激的でやや甘い感じのにおいがあり、麻酔性がある。空気中における毒性許容濃度は400ppm程度である。蒸気は空気より重い。空気中の酸素と光の作用により爆発性の過酸化物を生成するので、長い間空気下にあったエチルエーテルの取扱いには注意する必要がある。水とは互いにすこしずつ混ざり合い、水で飽和したエチルエーテルは20℃で1.2容量%の水を含み、他方エーテルで飽和した水は25℃で6容量%のエーテルを含む。エタノール(エチルアルコール)、ベンゼン、クロロホルム、石油エーテルなどとは任意の割合で混合する。蒸発熱が大きく、急速に蒸発すると温度が低下する。
エチルエーテルは、金属塩化物のあるものをその塩酸溶液から抽出分離するのに、用いられる。たとえば、鉄、マンガン、ニッケルおよびコバルトの混合物の塩酸溶液からは鉄のみが塩化鉄(Ⅲ)としてエーテルにより抽出分離される。また樹脂、ゴム、油脂、香料などの溶剤として、また有機合成反応の溶剤、天然物の成分の抽出溶媒として利用される。工業的にはエチレンから製造される。取扱いには、蒸気を吸入しないようにし、また火気に注意する。
[徳丸克己]
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