エネルギー固有値(読み)エネルギーこゆうち(英語表記)energy eigenvalue

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エネルギー固有値」の意味・わかりやすい解説

エネルギー固有値
エネルギーこゆうち
energy eigenvalue

孤立系の全エネルギーは,古典力学でも量子力学でも,常に保存される基本的な物理量であるが,量子力学では勝手な値をとることは許されない。このときとりうる値がエネルギー固有値である。たとえば振動数 ν の光は,エネルギー hν (hプランク定数) の整数倍のエネルギーの値しかもつことができない。一般に,量子力学系がとりうる全エネルギーの値は,その系を記述するハミルトニアン H の固有値である。その固有値に対応する系の波動関数は,H に対するシュレーディンガーの波動方程式を解くことによって決定される。エネルギー固有値 E についていえば,量子力学系が束縛状態にあれば,E は不連続なとびとびの値しかとれない。一方,系の中の粒子が散乱状態にあれば,E は任意の正の実数値をとることができる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android