エノシス運動(読み)えのしすうんどう

山川 世界史小辞典 改訂新版 「エノシス運動」の解説

エノシス運動(エノシスうんどう)
Enosis

キプロス住民の80%を占めるギリシア系住民のギリシア復帰運動。これはイギリスのキプロス支配に反対する民族解放運動でもあり,1931年には暴動にまで発展した。第二次世界大戦後マカリオス指導者として運動は強まったが,トルコ系住民(20%)はこれに反対した。60年キプロスは独立した共和国となったが,74年のトルコ軍侵攻以来,実質,トルコ系とギリシア系の分断国家状態が継続している。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のエノシス運動の言及

【キプロス】より

… 1960年憲法に規定されたようなギリシア系とトルコ系の権力分担の体制も63年11月マカリオス大統領が提起した憲法改正案を,キュチュク副大統領がトルコ系住民に不利であるとして拒絶したのを契機に破綻し,両系住民の対立が再燃,武力衝突に発展した。好戦的なエノシス(ギリシアへの復帰)運動の高揚に対抗したトルコ系住民は,トルコ本国の軍事的支援を要請,同時にトルコ系議員,公務員・軍人全員を引き揚げ,国の分割を主張した。64年国連軍が派遣され,両民族間に緩衝地帯(グリーン・ライン)を設置して平和維持に努めた。…

【キプロス問題】より

…キプロス島をめぐる国際問題。同島内のギリシア系住民(約80%)とトルコ系住民(約19%)との対立を軸に,両系住民の背後にそれぞれギリシアとトルコが介入し,また東地中海域の安全保障をめぐってアメリカ,イギリス,ロシアの思惑がからむなどの複雑な問題をかかえている。キプロス島は1571年以来オスマン帝国の支配下におかれていたが,1878年以後イギリスの植民地となり,1923年のローザンヌ条約によって25年正式にイギリスに併合された。…

※「エノシス運動」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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