エロヒム(英語表記)Elohim

翻訳|Elohim

改訂新版 世界大百科事典 「エロヒム」の意味・わかりやすい解説

エロヒム
Elohim

旧約聖書で〈神〉を表す一般名詞として2250回用いられる。ヘブライ語エール(神)の複数形で,死霊護符,神々,形容詞最上級の代用としても用いられるが,大部分ヤハウェ代りに,この〈一(いつ)なる神〉を示すのに使われる。一神格に複数形を用いることについて,文法的には尊厳の複数あるいは拡張の複数として説明される。宗教史的には至高神が〈神々の会議〉をしたがえることを示すとされる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エロヒム」の意味・わかりやすい解説

エロヒム
Elohim

旧約聖書中にたびたび用いられる神の名。セム族最古の最も広く用いられた神名 El (エル) の複数形。 Elは元来力の意。イスラエル人の神を示すときは複数であっても唯一の神を意味する。この名前はイスラエル人がつくりだしたわけではなく,ほか中東の国々の類似の語からエルやエロヒムの名を取入れてみずからの神を示すのに用いた。単一神格を複数形で表わすことは古代東方によくみられる例であり,共同体の代表者を示す。また,1つの名前で神なるもののすべての属性をまとめて表わしたようでもある。その場合エロヒムは一切の支配者,創造主である唯一の全能の神を意味する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android