エンゼルフィッシュ(読み)えんぜるふぃっしゅ(英語表記)angelfish

翻訳|angelfish

精選版 日本国語大辞典 「エンゼルフィッシュ」の意味・読み・例文・類語

エンゼル‐フィッシュ

〘名〙 (angelfish) カワスズメ科の代表的な熱帯淡水魚。この仲間は数種いるといわれている。また、観賞用品種が多数つくられている。一般に体長一〇~一五センチメートル。体は側扁し、背びれしりびれ腹びれが長くのびる。淡灰色に黒色の太い横じまが数本あるのが特徴。付着卵を産み、雌雄とも子魚を守る習性がある。南米アマゾン川流域およびギアナ原産。観賞魚として広く家庭で飼われる。てんにんいしだい。また、キンチャクダイ科、チョウチョウウオ科、ツバメウオ科などの海産魚の一部をさすこともある。
横断歩道(1956)〈井上友一郎熱帯魚エンゼルフィッシュらしいのが五六ぴき、美しい線を描いて泳いでいる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「エンゼルフィッシュ」の意味・読み・例文・類語

エンゼル‐フィッシュ(angelfish)

カワスズメ科の淡水魚。全長約15センチ。体は側扁し、銀白色の地に数本の黒色横帯があり、背びれ・しりびれが長く伸びる。アマゾン水系原産の熱帯魚。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エンゼルフィッシュ」の意味・わかりやすい解説

エンゼルフィッシュ
えんぜるふぃっしゅ
angelfish
[学] Pterophyllum scalare

硬骨魚綱スズキ目カワスズメ科(シクリッド科)に属する淡水魚。アマゾン川流域とガイアナのエセキボ川水系に分布。代表的な飼育熱帯魚の一つで、飼育されているものはほとんど水槽で繁殖した個体である。体は丸みを帯びた菱(ひし)形で、著しく側扁(そくへん)する。背びれ、臀(しり)びれ、尾びれは大きく、先端が長く伸び、腹びれも糸状に伸びている。体長は10センチメートル以下だが、ひれを入れると全長15センチメートル、高さ20センチメートル以上になる。体の基色は銀白色、体軸を横切る4本の黒帯がある。

 飼育は容易で、日本の水道水なら水質に問題はない。適温は25℃前後。繁殖させるには数尾以上いっしょに飼育して、そのなかでつがいをつくらせることが必要である。つがいは産卵場に縄張りをつくって他魚を追い払うのですぐに見分けられる。産卵場所は水草の葉や茎などであるが、水槽中ではプラスチックパイプなどを立てかけて産卵させることが多い。つがいは口で産卵床を掃除したのち、数百個の粘着卵を産み付ける。親は卵の保護をし、卵は50~70時間で孵化(ふか)する。親が卵を食べるときは、産卵床を別の容器に移して孵化させる。

 エンゼルフィッシュには、変異形質の固定と交配によって、さまざまな品種がつくりだされている。代表的なものに、ブラックエンゼル、ブラックレースエンゼル、ゴールデンエンゼル、マーブルエンゼル、ベールテールエンゼルなどがある。

 エンゼルフィッシュの仲間にはこれまで4種が記載されているが、分類学的には未解決な部分が多い。確実に独立種と思われるのは本種(P. eimekeiという学名がよく使われているが、これはおそらく異名同種)とアルタムエンゼルP. altumだけである。

[多紀保彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「エンゼルフィッシュ」の意味・わかりやすい解説

エンゼルフィッシュ

カワスズメ(シクリッド)科の魚。代表的な熱帯魚として知られ,世界各地で観賞用に飼育される。全長12cm。体は側扁してひし形に近く,腹びれが糸状に長く伸びる。背びれとしりびれが高い。品種改良の結果,ブラックエンゼル,レースエンゼルなど,いろいろな品種ができている。淡水生でアマゾン水系原産。
→関連項目熱帯魚

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エンゼルフィッシュ」の意味・わかりやすい解説

エンゼルフィッシュ
Pterophyllum; freshwater angelfishes

スズキ目カワスズメ科 Pterophyllum属に属する淡水魚の総称。全長 15cm。体は著しく側扁する。体色は銀白色で黒縞がある。3種からなるが,代表的な熱帯魚として広く飼育され,多くの品種がつくりだされている。南アメリカのアマゾン川流域などに分布する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「エンゼルフィッシュ」の意味・わかりやすい解説

エンゼルフィッシュ
angelfish

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のエンゼルフィッシュの言及

【熱帯魚】より

…以上の場合,産卵槽には十分成熟し産卵の間近い雌1に対し雄2の割合で入れるのがふつうで,産卵後はすぐに親魚を取り出して,卵の孵化を待ち,さらにそこで稚魚を育てる。 エンゼルフィッシュやジュエルフィッシュ(シクリッド類の大半)は,雌雄がつがいになって,付着卵を産み,その後も雌雄で卵を守り,孵化後も稚魚のめんどうを見る。このような習性の魚は,あらかじめ水槽に産卵床となる石や水草を入れておき,雌雄が繁殖行動に入ったら,それ以外の魚を別の水槽に移して繁殖を待つ。…

※「エンゼルフィッシュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android