エンブレマータ(読み)えんぶれまーた

世界大百科事典(旧版)内のエンブレマータの言及

【アレゴリー】より

…文学との関連でもっとも著名な例は,13世紀に書かれた愛の寓意詩《薔薇物語》で,今日知られている15世紀後半の豪華な彩飾写本(ボドリー図書館)を見ると,画家は閑暇,雅(みやび),優しさ,羞恥,恐れなどの擬人像を描くとき,テキストから啓発されていることがわかる。逆に文学への影響については後に述べる〈エンブレマータ〉が大きな役割を果たした。
[アレゴリー表現の歴史]
 (1)中世 中世においてはキリスト教道徳に関するアレゴリーが主体となる。…

【ギリシア神話】より

…反宗教改革期の美術においても神話は全面的に否定されることはなく,その寓意的解釈が流行した。1593年に初版の刊行されたリーパの《イコノロジア》は,異教的イメージに抽象概念を対応させた寓意図像集(エンブレマータ)で広く美術家の用に供された。17世紀にも神話美術は盛んで,ルーベンスは豊かな古典古代の教養をもって,プッサンは古代美術やラフェロに学んだ古典的形式に従って,それぞれ神々や英雄の物語を描いた。…

【図像】より

…このような資料の典型例として,洋の東西に古くから存する図像手引書がある。仏教美術における〈儀軌〉,ビザンティン美術における〈図像釈義Hermēneia〉,ルネサンスからバロックにかけて各種編纂された〈エンブレマータEmblemata(標章学書)〉等がそれである。また,本来図像手引書として編まれたものではないが,かなりの確実性をもって図像とその内容の一対一対応を示唆する文書がある。…

【バロック文学】より

…しかも聖書はもとよりラテンおよびギリシアの古典,さらに教父神学の知識すら前提となり,〈学識者〉文学の特徴をもつことになる。こうした諸要素の結晶が,抽象的な表題,情景や場面を示す絵,多くエピグラム風の説明の三要素からなるエンブレマータという特有なジャンルである。他方,世紀半ばより数を増した小説も,英雄・宮廷小説,牧人小説,悪者小説および風刺小説と三文体に対応する面をもっているが,ことに英雄小説は時代のあらゆる知識を集成した百科全書的な内容をもち,その表現と相まってまさに典雅な学識文学の真骨頂を示す。…

※「エンブレマータ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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