オイリュトミー(読み)おいりゅとみー(英語表記)Eurhythmy ドイツ語

デジタル大辞泉 「オイリュトミー」の意味・読み・例文・類語

オイリュトミー(〈ドイツ〉Eurythmie/Eurhythmie)

ドイツ哲学者・教育者ルドルフ=シュタイナーが1911年ごろ創出した教育法音楽言葉リズムに合わせた身体表現を行う。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オイリュトミー」の意味・わかりやすい解説

オイリュトミー
おいりゅとみー
Eurhythmy ドイツ語

律動的な運動」また「律動的な調和」という意味であるが、一般には「音楽オイリュトミー」として知られている。これは、目で見ることができない音楽の響きの各要素を、聴覚知覚を通して、見ることができる肢体の動きで表現するための方法である。ドイツの哲学者ルドルフ・シュタイナーによって、1919年シュトゥットガルトに創設された自由バルドルフ学校の音楽教育で取り入れられた。ここでは、子供の魂に不可欠な音楽を、複数の感覚を同時に働かせて体験させるためには、音楽オイリュトミーが効果的な役割を果たすとして重視されている。そして音程旋律、リズム、テンポ、和声、シャープとフラット、ピアノとフォルテクレッシェンドデクレッシェンド協和音と不協和音、そしてフレーズ休止など、音楽の各要素を表現するための一定の法則がある。たとえば音程を表現する場合、1度から7度までの各音程は、身体表現として鎖骨から始まり、上膊(じょうはく)と前膊を通って指先までの動きで表し、最後に、両腕で周囲を広く包み込む動きによって、オクターブを表すというような方法である。

川原 浩]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オイリュトミー」の意味・わかりやすい解説

オイリュトミー
eurhythmy

ドイツの神秘思想家ルドルフ・シュタイナーの舞踊表現法。古代ギリシアで律動的調和を意味した eurhythmiaということばに由来する。リズムや音に対して身体的に反応し,行動することによって感覚機能を高め,さらに頭脳と体との連絡を密にし,一体となって反応する力をも高めるというもの。ことばを発するときにはひとつひとつの母音で魂を,子音で自然を表現し,また音程と和音(→和音と和声)によって内界と外界を媒介させながら,それらを体で芸術的に造形する。この理論による「神秘劇」が,シュタイナー自身によってスイスバーゼル近郊ドルナッハに建てたゲーテアヌムで上演された。動き,音楽,言語が一体となった総合芸術教育として,ドイツ各地のシュタイナー学校では,特に初等教育にこの理論が用いられている。日本でも,1991年に舞踏家の笠井叡(あきら)が東京都国分寺市にオイリュトミーの学校オイリュトミーシューレ天使館を開設した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のオイリュトミーの言及

【シュタイナー】より

…彼は,すべての人間の中には,特定の修行を通して高次の認識を獲得する能力がまどろんでいるが,この認識の上に立てばこれらの問題を近代自然科学と同じ厳密さで探究できると主張し,この行法を《いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか》(1904‐05)の中で提示する一方,《神智学》(1904)と《神秘学概論》(1909)の中で,以上の諸問題に近代的な認識批判の立場にとっても受け入れられるような表現を与えようと努めた。彼の影響は宗教,芸術,教育,医療,農法等の分野にも及んだが,とくにキリスト者共同体運動,新しい運動芸術であるオイリュトミーEurhythmie,自由ワルドルフ学校,類似療法医学,有機農法などが有名である。また個人ではシュワイツァー,ユング,ヘッセ,P.クレー,カロッサ,B.ワルターらにその影響が見られる。…

【体操】より

… 現代は,体操がふたたび多様化の時代に入っている,と考えられる。リズムにのる楽しさを強調したジャズ体操,心肺機能を高める有酸素運動に着目したエアロビック体操(エアロビクス),筋肉の伸展をめざすストレッチ体操をはじめ,東洋の神秘主義的な心身一如の思想に支えられたインドのヨーガ,中国の按摩・導引体操や太極拳,さらに一種独特の直観理論に基づくシュタイナーのオイリュトミー体操にいたるまで,多種多彩である。このような現代の体操の多様化現象は,現代人の健康生活上の不安の反映にほかならないが,その解決法には二つの大きな傾向が認められる。…

※「オイリュトミー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android