オオメハタ(読み)おおめはた(英語表記)silvergray seaperch

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオメハタ」の意味・わかりやすい解説

オオメハタ
おおめはた / 大目羽太
silvergray seaperch
[学] Malakichthys griseus

硬骨魚綱スズキ目ホタルジャコ科に属する海水魚。日本海側では新潟県沖、太平洋側では千葉県から九州南岸、沖縄舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)(トラフ)、済州島(さいしゅうとう)、南シナ海、オーストラリア北岸から西岸分布する。体は楕円(だえん)形で側扁(そくへん)し、体高は高くて体長の36%以上。目はきわめて大きく、吻長(ふんちょう)よりも大きい。口は大きいが、上顎(じょうがく)の後端は目の中央部下まで達しない。下顎は上顎より突出する。背びれには棘(きょく)部と軟条部の間に深い欠刻(切れ込み)がある。臀(しり)びれの最長軟条長は臀びれの基底長よりも長い。側線有孔鱗(ゆうこうりん)数は42~49枚。背びれの起部から側線までと臀びれの起部から側線までの鱗(うろこ)の数はそれぞれ5枚と13枚。腹びれ棘の前縁は滑らか。肛門(こうもん)は腹びれ始部よりも臀びれの始部近くに位置する。臀びれの第1担鰭骨(たんきこつ)(ひれの基部にある、鰭条を支える骨)は棘状で、前縁に浅い溝がある。体色は背方が黄褐色で、腹方は銀白色を帯びる。背びれの棘部は縁辺ほど黒くなる。水深100~600メートルの大陸棚縁辺から斜面にすむ。小形の甲殻類魚類クモヒトデ類を食べる。冬季底引網で漁獲され、練り製品材料にされる。1984年、科名は旧スズキ科Percichthyidaeから変更された。最大全長は約20センチメートルになる。

 近縁種ワキヤハタナガオオメハタなどがいるが、ワキヤハタは臀びれ長がその基底長よりも短いことで、ナガオオメハタは体高が低くて、体長の35%以下であること、側線有孔鱗数が多くて、48~51枚あることなどで本種と区別できる。

片山正夫・尼岡邦夫 2020年6月23日]


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改訂新版 世界大百科事典 「オオメハタ」の意味・わかりやすい解説

オオメハタ
Malakichthys griseus

スズキ目スズキ科の海産魚。本州中部以南,台湾,フィリピンなどに分布する。ウミブナと呼ばれることもある。高知とその周辺でオキアマギ,フナ,タイショオ,オキフナなどという。体は側扁して平たく,眼と口が大きい。全長20cmを超える。体色は銀白色で,背部はやや茶褐色みを帯びている。釣人はこの体色とムツに似ているところからシロムツと呼んでいる。おもに沿岸の砂泥底にすむが,ときに岩礁域で釣れることもある。小型の甲殻類や魚類などを食べている。産卵期は4~5月である。水深100~200mを中心としたところに生息し,近縁のワキヤハタM.wakiyaiよりやや深いところに分布の中心がある。底引網でまとまって漁獲され,おもに練製品の材料となる。ときに干物や煮つけなどで賞味されるが,ワキヤハタより脂肪が多く味がやや劣る。
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