オガサワラカラスバト(英語表記)Columba versicolor; Bonin wood pigeon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オガサワラカラスバト」の意味・わかりやすい解説

オガサワラカラスバト
Columba versicolor; Bonin wood pigeon

ハト目ハト科。全長 43cm。小笠原諸島固有種で,1900年以前に絶滅した。現存する標本は世界に 3点だけで,ロシアのロシア科学アカデミー動物学博物館,ドイツのゼンケンベルク自然博物館,イギリスのロンドン自然史博物館に 1点ずつ所蔵されている。全身スレート黒色で,頭部や背は紫緑色の金属光沢を強く帯びている。日本の島嶼などに多いカラスバトに似ているが,少し大型で,緑色光沢が強い。採集地は父島媒島(なこうどじま)で,最後の標本は媒島で 1889年に採集された。生態などについてはなにもわかっていない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オガサワラカラスバト」の意味・わかりやすい解説

オガサワラカラスバト
おがさわらからすばと / 小笠原烏鳩
Bonin wood pigeon
[学] Columba versicolor

鳥綱ハト目ハト科の鳥。絶滅種。小笠原諸島に周年すんでいたが、1889年(明治22)に媒島(なこうどじま)で採集された雄1羽を最後に、以降の記録はまったくなく、現存する標本も3体しかない。全長約45センチメートル。体の色はカラスバトほど黒くなく金属光沢に富む。カラスバトによく似た生態をもっていたものと考えられる。

[竹下信雄]

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世界大百科事典(旧版)内のオガサワラカラスバトの言及

【ハト(鳩)】より

…カンムリバト亜科はニューギニア地方特産で,カンムリバト属Gouraの3種だけからなり,オオハシバト亜科はサモア島特産のオオハシバト1種だけを含む。 日本にはカラスバトColumba janthina,リュウキュウカラスバトC.jouyi,オガサワラカラスバトC.versicolorシラコバトStreptopelia decaocto(イラスト),ベニバトS.tranquebaricaキジバトS.orientalis(イラスト),キンバトChalcophaps indica,アオバトSphenurus sieboldii,ズアカアオバトS.formosaeの9種が分布するが,小笠原諸島特産のオガサワラカラスバトと琉球諸島特産のリュウキュウカラスバトは絶滅した。これらによく似たカラスバトは伊豆諸島や西南日本の離島に分布し,全身光沢を帯びた紫黒色の大型のハトである。…

※「オガサワラカラスバト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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