オクラ(読み)おくら(英語表記)okra

翻訳|okra

精選版 日本国語大辞典 「オクラ」の意味・読み・例文・類語

オクラ

〘名〙 (okra) アオイ科一年草。東北アフリカ原産で、原産地では小高木となる。高さ〇・六~二メートル。全株に粗毛がある。葉は長い柄があって互生し、掌状に三~五深裂する。花は黄色で中央が赤く、五弁で直径五~七センチメートル。実は長さ一二~三〇センチメートルのさやで五本の稜があり、熟すと木質化する。若い三センチメートル内外の実は食用。アメリカネリ。《季・秋》

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「オクラ」の意味・読み・例文・類語

オクラ(okra)

アオイ科の多年草。日本では一年草。高さ0.5~2メートル。葉は3~5裂し、長い柄をもち互生。夏から秋、黄色い5弁花を開く。実は角状で、若いものを食用にする。アフリカ北東部の原産。アメリカねり。陸蓮根おかれんこん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オクラ」の意味・わかりやすい解説

オクラ
おくら
okra
[学] Abelmoschus esculentus Moench

アオイ科(APG分類:アオイ科)の多年草。アメリカネリともいう。熱帯では高さ6メートルにもなるが、わずかの霜でも枯死するので日本では一年草として栽培する。高さ1~2メートル、葉は互生し15~30センチメートル、掌状に3~5裂し、長い葉柄がある。夏から秋に葉腋(ようえき)から、乳白色で中心が赤色の直径5~7センチメートルの花を開き、開花時は夜から早朝までで、昼までにはしぼむ。花弁は薄質で5枚、縦筋が多数あり、螺旋(らせん)状に重なり合う。雄しべは多数が合一して単体となり、柱頭は5裂する。莢果(きょうか)は長さ10~30センチメートルで、5稜(りょう)の角(つの)状で先がとがり、表面には硬い短毛をもち、熟すと木質化する。種子は球形で直径5ミリメートル。普通は直播(じかま)きで春に種子を播くが、種子は硬実で発芽には25℃程度の温度を要する。小苗を移植することもできる。開花後2~4日を経て、長さ4~8センチメートルになった軟らかい幼果を収穫する。

[星川清親 2020年4月17日]

料理

花期後数日の若い小さい莢(さや)を種子ごと食用にする。軽く湯がいて輪切りにし、かき混ぜるとぬめりが出て、独特の味わいがある。鮮緑色で、五角形星形の切り口に白くて丸い種子が並び、形もおもしろく美しい。和(あ)え物やサラダにする。ワカメとろろともよくあい、梅干しの肉で和えても美味である。納豆に混ぜてもよい。てんぷらやフライにもされ、吸い物スープポタージュにもよい。完熟した種子は煎(い)ってコーヒー代用にされる。

[星川清親 2020年4月17日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「オクラ」の意味・わかりやすい解説

オクラ
okra
Abelmoschus esculentus Moench

アオイ科の一年草。アメリカネリともいう。アフリカ北東部の原産で熱帯から温帯各地で栽培される。エジプトでは2000年以上も前に栽培されていたという。日本へは明治初期に導入されたが,栽培はきわめて少なく,近年ようやく普及してきた野菜である。草高0.5~2m。茎は1~数本に分枝し,淡緑だが暗赤緑色になるものもある。葉は深裂し,初夏に黄色で中心部が赤い花が葉腋(ようえき)に1花つき,夜から早朝にかけて開花する。やがて長さ5~25cmの先端のとがった大きな果実(莢(さや))をつける。高温性の野菜で寒さに弱い。露地栽培では4月下旬~5月上旬に播種(はしゆ)し,その後50~60日,開花後5~10日目の幼果(6~10cm)を収穫する。葉にアブラムシやメイチュウ,根にセンチュウがつきやすい。連作は避ける必要がある。オクラの若莢はビタミンAとタンパク質を含み,ペクチン,ガラクタン,アラバンを成分とする粘質物をもつ。生食は生のままおろしたり,酢のもの,あえもの,サラダなどに使う。煮食はてんぷら,油いため,スープや吸物,茶わん蒸しなどに,加工用は果実をケチャップ,ソースの原料とする。成熟種子はコーヒーの代りに用いた。そのほか莢つきの茎の枯れたものを漂白して生花の材料として用いる。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

食の医学館 「オクラ」の解説

オクラ

《栄養と働き&調理のポイント》


○栄養成分としての働き
 アフリカ東北部が原産のオクラは、断面が五角形の星形になるユニークな形と、独特のヌメリが特徴。このヌメリのもととなっているのは、水溶性食物繊維のペクチンと多糖類(たとうるい)の混合物です。これらの成分には整腸作用があり、便秘(べんぴ)にも下痢(げり)にも効果的に働きます。腸内コレステロールや胆汁酸(たんじゅうさん)の吸収を妨げる働きもあるので、動脈硬化症、胆石症(たんせきしょう)の予防にも効果があります。
 旬(しゅん)は7~9月なので、夏バテ防止のためにも積極的に食べたい野菜の1つです。
 アルコールから胃壁をまもる働きもあり、お酒のおつまみにも最適。
 また、糖の吸収をゆっくりさせる働きがあるので、糖尿病予防にも役立ちます。
 その他の成分としてたんぱく質、カロテン、カルシウム、鉄、ビタミンB1、Cが豊富です。
 オクラは生で食べるのが理想的。刻んで和えものやオクラ納豆に。ゆでるときは短時間にしましょう。スープやカレーなどの煮込み料理に使えば、栄養成分を無駄なくとれます。

出典 小学館食の医学館について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オクラ」の意味・わかりやすい解説

オクラ
Hibiscus esculentus; okra

アオイ科の一年草で,熱帯アジア原産。茎は高さ 2mに達し,葉は心臓形で5裂する。夏,葉腋に黄色で中央が紅色の花をつけ,5弁でワタの花に似ている。果実は長さ 12cmぐらいの五角柱状の 蒴果で,若いものをガンボ gumboといい,ゆでてスープやシチューなどに入れる。ペクチン,ガラクタン,アラバンなどから成る粘液を含むため,ねばねばする。熟した種子は黒色または褐色で,炒ってコーヒーの代用にすることもある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「オクラ」の意味・わかりやすい解説

オクラ

全世界の温〜熱帯で栽培されるアオイ科の野菜。明治初年に渡来。全草トロロアオイに似て,高さ約2m,葉は5裂し,夏,葉腋に黄色花を開く。食用にするのは未熟の果実で,9cm程度の柔らかいさやを食べる。ぬめりがあって舌ざわりがよく,生食あるいはサラダ,スープの実などにする。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

栄養・生化学辞典 「オクラ」の解説

オクラ

 [Abelmoschus esculentus].アオイ目アオイ科オクラ属の一年草の朔果.世界で広く食用にする.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android