オスマンル(読み)おすまんる

世界大百科事典(旧版)内のオスマンルの言及

【イスタンブール】より

…その政治的立場やスルタンとの親密な関係を利用して莫大な富を蓄え,それによってワクフ諸施設を建設したり,商業に投資をした。イスラムの諸学問を修め,ペルシア文学や芸術を身につけた彼らは,〈オスマン紳士(オスマンルOsmanlı)〉を自負する知的エリートでもあった。一方,デウシルメによって徴用された子どもたちの大多数はイエニチェリやシパーフsipah(近衛騎兵)となったが,とくに前者は,その創設以来神秘主義教団ベクターシュと深い関係をもち,また兵営前の〈肉の広場Et Meydanı〉に料理用の大なべを持ち出すことによってスルタンに対する不満の意思表示をする慣行を通じて,政治的に大きな発言力を獲得した。…

【オスマン帝国】より


[社会,経済,文化]
 帝国の社会的身分秩序は,軍人,官僚,ウラマー層およびその家族,親族,奴隷からなるアスケリーaskerı(さらに武官ehl‐i seyfiyyeと文官ehl‐i kalemiyyeとに分けられる)と生産者大衆レアーヤーreaya(小商工民,農民,遊牧民を指し,ムスリムと非ムスリムの区別を含まない)とからなり,〈レアーヤーの子はレアーヤーである〉という身分秩序観念があった。そして,イスラムの諸学問を修め,ペルシア文学を愛好し,みずから〈オスマン紳士(オスマンルOsmanlı)〉を自認する支配エリートは,アラビア語,ペルシア語に粉飾されたオスマン・トルコ語を話し,民衆の素朴な口語を〈粗野なトルコ語kaba türkçe〉とよんだ。彼らにとって〈トルコ人〉とは田舎者,無教養な者を意味した。…

※「オスマンル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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