オック語（読み）オックゴ

デジタル大辞泉

オック‐ご【オック語】

１ 中世のフランスで、ロアール川より南の地域で話されていた言語。「はい」の意のouiをocと言ったことからの称。古プロバンス語。→オイル語
２ 1の系統に連なる南フランス諸方言の総称。プロバンス語。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

オック‐ご【オック語】

〘名〙 (オックはoc)

① 中世フランスで、ロアール川以南の南フランスの方言の総称。肯定の語 oui(ウイ)に oc(オック)を使うところからの名。プロバンス語。オクシタン語。

② ①の系統を引く南フランスの諸方言の称。プロバンス語。

出典　精選版 日本国語大辞典

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

オック語
オックご
langue d'oc

ラング・ドックともいう。プロバンス語のこと。肯定の返事 (現代フランス語の oui) が ocであったことによる。 (→オイル語 )

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

改訂新版　世界大百科事典

オック語 (オックご)

→オクシタン

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

世界大百科事典（旧版）内のオック語の言及

【オクシタン】より

…オック語の意。南フランスで行われるロマンス語の一つで，プロバンス語Provençalとも呼ばれる。…

【フランス語】より

…　なお，フランス国内で話されているフランス語以外の言語について一瞥しておくと，次のようになる。最も大きな勢力を保っているのが，オイル語圏の南で行われているオック語(オクシタン(語)occitan)である(言語人口約800万～1000万。そのうち大多数はフランス語との2言語併用者であり，その点は以下のフランコ･プロバンス語ほかも同様である)。…

【ミディ】より

…ただし大西洋岸シャラント地方などは地理上南部に位置するにもかかわらず，伝統的な住民感情は〈南でも北でもない〉として一括されるのを好まない。オック語(オクシタン)圏ということを一つの基準とすればリモージュあたりがだいたいの北限となる(ただし，南部でも現ピレネー･ゾリアンタル県はカタルニャ語地帯，ピレネー･ザトランティク県はバスク語地帯である)。　広大な南部が均質な構造をもつわけでは決してないが，北部との対比において概括的に歴史的特徴を挙げるならば，多数の遺跡･遺構が物語るとおり，古代ローマ帝国による刻印を最も強く受けた地帯で，南部の諸都市はいずれもローマ時代に起源をもっている(主要都市で唯一の例外はモンペリエ)。…

【ラングドック】より

…その南フランス語では，肯定の副詞(英語のyes)を〈オックoc〉というが，北フランス語ではそれを〈オイルoïl〉といった。前者はオック語langue d’oc，後者はオイル語langue d’oïlとも呼ばれる。ラングドック地方の名称はこれに由来する。…

【ロマンス語】より

…
［分類･分布］
　ロマンス語の分類に関してはさまざまな試みがなされているが，19世紀末に死滅したダルマティア語(かつてアドリア海東岸に分布)を今日使用されているロマンス語に加えたうえで，次のような分類が考えられる(配列順序はヨーロッパにおける分布をおおよそ西から東にたどったもの)。(1)ポルトガル語，(2)スペイン語，(3)カタロニア語(カタルニャ語，カタラン語とも)，(4)オック語(オクシタン(語)とも)，(5)フランコ･プロバンス語Franco‐Provençal，(6)フランス語，(7)レト･ロマン語(レト･ロマンス語とも)，(8)サルジニア語(サルデーニャ語とも)，(9)イタリア語，(10)ダルマティア語Dalmatian，(11)ルーマニア語。これらの〈言語〉はいずれもいくつかの地域的な変種(方言)を含んでいるが，(1)(2)(3)(6)(9)(11)のように超局地的な共通語(標準語)の確立している言語と，そのような標準語をもたない(4)(5)(7)(8)(10)のような言語とがある。…

※「オック語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」