オトギリソウ科(読み)おとぎりそうか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オトギリソウ科」の意味・わかりやすい解説

オトギリソウ科
おとぎりそうか
[学] Hypericaceae (Guttiferae)

双子葉植物、離弁花類低木または草本で、葉は普通対生する。葉身、萼片(がくへん)、花弁雄しべの先端などに油点を分布する。油点は、油細胞に油質とヒペリシンという赤色素を含むと黒点となり、含まないと明点となる。両性花は集散花序となり、萼片5、花弁5で、離生し、雄しべは多数が3または5の束に集まる。雌しべ子房上位で、熟すと蒴果(さくか)となり、多数の種子をもつ。7属、約400種あり、熱帯に多く、温帯のものは少ない。日本にはオトギリソウ属、ミズオトギリ属の草本のみが自生し、フクギが沖縄に植えられるほか、観賞植物のキンシバイビヨウヤナギや熱帯果樹のマンゴスチンがある。

[杉山明子 2020年7月21日]

 APG分類でもオトギリソウ科とされる。ただしフクギの仲間はフクギ科、テリハボクの仲間はテリハボク科として独立した。

[編集部 2020年7月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オトギリソウ科」の意味・わかりやすい解説

オトギリソウ科
オトギリソウか
Guttiferae

双子葉植物オトギリソウ目の1科。新旧両大陸のおもに熱帯地方に約 40属 1000種ほどが知られる。大半の種は高木または低木であるが,オトギリソウ属 Hypericumなどは例外的に草本が多い。葉は単純形で対生し,油点をもつことが特徴とされる。花は多くは5数性で放射正整形,多数のおしべがあって,束状にいくつか (5つが多い) のおしべ群に分れる。果実蒴果のほか,液果核果となるものもある。日本ではオトギリソウ属が主体で,他属では沖縄や小笠原フクギ (福木)テリハボクがみられる程度である。熱帯果樹のマンゴスチンもこの科に属する。

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世界大百科事典(旧版)内のオトギリソウ科の言及

【オトギリソウ】より

…山野の草地に生えるオトギリソウ科の多年草(イラスト)。茎は直立して高さ20~60cm。…

※「オトギリソウ科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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