オトコヨモギ(読み)おとこよもぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オトコヨモギ」の意味・わかりやすい解説

オトコヨモギ
おとこよもぎ / 牡蒿
[学] Artemisia japonica Thunb.

キク科(APG分類:キク科)の多年草。全草に毛がなく、茎は高さ0.4~1.4メートル。上方で多少枝が出る。葉はくさび形で、先が広まり、いくつかの浅い鋸歯(きょし)がある。上部にある葉は小形の線形で鋸歯がない。根元にへら形のロゼット状の葉があるが、この葉と茎下部の葉は開花時には普通は枯れている。8~11月、茎上部に円錐(えんすい)花序をつくり、多数の頭花をつける。頭花は卵状球形または長楕円(ちょうだえん)状球形で、長さ2ミリメートル、幅1.5ミリメートルと小さい。頭花の縁(へり)に雌性の小花があり、中に両性の小花がある。両性の小花は不稔(ふねん)。痩果(そうか)は長楕円形で長さ0.8ミリメートル、無毛。日本全土の日当りのよい山地に生育し、東アジアに広く分布する。名は、種子が小さいので、種子をつくらない雄と思い、牡(おす)の蒿(よもぎ)とつけたという。

[小山博滋 2022年2月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オトコヨモギ」の意味・わかりやすい解説

オトコヨモギ
Artemisia japonica

キク科の多年草。日本全土,アジア東部から南東部,アフガニスタンに分布し,日当りのよい平地,山地に生える。全草ほとんど無毛。茎は高さ 50~100cm,上方で分枝する。葉は互生し濃緑色。茎上部の葉は小型で線形,中部の葉は楔形で長さ4~6cm,上半部に歯状鋸歯があり,下半部は縁がなめらかで基部に向って細まる。葉柄はない。8~11月,径約 1.5cmで淡黄色,卵形の頭花を円錐状に多数つける。総包は緑色,外片は小さく卵形で先が鋭く,内片は楕円形で先が丸い。種子がきわめて小さく,ないものと思って雄のヨモギの意でこの名がある。

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百科事典マイペディア 「オトコヨモギ」の意味・わかりやすい解説

オトコヨモギ

ヨモギ

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世界大百科事典(旧版)内のオトコヨモギの言及

【ヨモギ(艾∥蓬)】より

…本州~琉球,朝鮮,フィリピン,中国,ネパールに分布する。オトコヨモギA.japonica Thunb.(イラスト)は草原や川の堤によくみられる多年草で,東アジアに広く分布する。カワラヨモギとともに,頭花中央部の筒状花は不稔である。…

※「オトコヨモギ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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