オニキバシリ(読み)おにきばしり(英語表記)woodcreeper

改訂新版 世界大百科事典 「オニキバシリ」の意味・わかりやすい解説

オニキバシリ (鬼木走)
woodcreeper

スズメ目オニキバシリ科Dendrocolaptidaeの鳥の総称。この科は約50種からなり,中央アメリカに固有種の4種を含む約20種が分布し,南アメリカには上述の4種を除く46種が分布している。カマドドリ科に比較的縁が近く,学者によっては両者を一つの科にまとめる場合もある。全長は14~36cm。大部分の種が,全体にきわめてじみな黄褐色褐色,灰色などの羽色である。くちばしの形態は種によってかなり異なり,まっすぐに細くとがっているもの,キツツキ科のくちばしのようにのみ状で鋭いもの,細長く湾曲しているものなどがある。昆虫類,クモ,カエルなどを主食とする。尾羽は長く,その羽軸は強く,キツツキ科の尾羽のように樹幹上で体を支えるのに役だっている。主として熱帯降雨林に生息し,キツツキ科や旧世界に分布するキバシリ科に近い生活をしている。群れは形成せず,1羽かつがい単位で生活し,朽木樹洞裂け目,キツツキ類の古巣を利用して営巣する。熱帯の多くの小鳥類と異なり,その繁殖期は短く,通常,1年に1腹しか雛を育てないといわれている。また,一部の種では,巣立ち雛は次の年の繁殖期まで親鳥といっしょに生活しているという。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オニキバシリ」の意味・わかりやすい解説

オニキバシリ
Dendrocolaptinae; woodcreepers

スズメ目カマドドリ科オニキバシリ亜科の鳥の総称。全長 13~35cm。独立した科に分類されることもあったが,今日ではカマドドリ科に含まれている。コオニキバシリ属,ハシブトキバシリ属,ヒメオニキバシリ属,ケンハシオニキバシリ属,ユミハシオニキバシリ属など多くの属があり,約 50種からなる。どの種も地味な羽色で,が細長い。ほとんどが中央アメリカから南アメリカ熱帯亜熱帯森林に生息し,少数がサバナなど開けた環境で暮らしている。類縁関係はないが,ユーラシアや北アメリカにすむキバシリに似ている。どちらも硬い尾羽を支えとし,鋭い爪でしがみついて木の幹や枝を自由に動き回り,樹皮の陰や樹木の裂け目などに隠れている昆虫類,クモ類を捕食する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オニキバシリ」の意味・わかりやすい解説

オニキバシリ
おにきばしり / 鬼木走
woodcreeper

鳥綱スズメ目オニキバシリ科に属する鳥の総称。同科Dendrocolaptidaeは、メキシコからアルゼンチン北部の熱帯林、亜熱帯林や低木林に限り分布しており、13属約50種からなる。全長14~37センチメートル。ほかのスズメ目の鳥と同じように、足指は前3本、後ろ1本で、鋭い曲がったつめで木の幹を垂直に登る。尾羽は堅く、つめとともに体を支える。羽色は全体に暗褐色で、翼と尾は赤みが強く、頭から背にかけて、また下面には、淡色、白色、黒色などの縦斑(じゅうはん)がある種が多い。嘴(くちばし)は種によってさまざまであるが、やや長めで頑丈なものが多く、長く下向きに曲がっているものもある。幹を登りながら、樹皮の表面や割れ目にいる昆虫、クモ類などの小動物をとる。これらの形態と生態はユーラシアとアフリカに分布するキバシリによく似ている。木の割れ目に巣をつくり、2~3個の白い卵を産み、雌雄で抱卵し雛(ひな)を育てる。渡りはしない。

[竹下信雄]

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