オルタ(英語表記)Victor Horta

改訂新版 世界大百科事典 「オルタ」の意味・わかりやすい解説

オルタ
Victor Horta
生没年:1861-1947

ベルギーアール・ヌーボー建築家,工芸家。ヘントに生まれ,ブリュッセル定住ビオレ・ル・デュク弟子タッセル邸(1893)で,斬新な平面に加えて鉄骨柱や〈オルタ・ライン〉と呼ばれる優雅な曲線の鉄細工装飾ステンドグラスと鏡で壁・天井をおおう。その後ソルベイ邸(1900)をはじめとする住宅群,社会党支部のための人民の家(1899),グランド・バザール百貨店(1903,フランクフルト)などで,鉄を構造と装飾に多用し,大きなガラス張り外装にアール・ヌーボーの新しい道を示している。1920年以後は古典に傾斜し渋い作風に変わった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オルタ」の意味・わかりやすい解説

オルタ
Horta, Victor, Baron

[生]1861.1.6. ヘント
[没]1947.9.11. ブリュッセル
ベルギーの建築家でアール・ヌーボー建築の創始者。パリで室内装飾を学んだのち,ブリュッセルで建築を修業。 1893年ブリュッセルのタッセル邸で鉄骨を豊富に用い,内部に独創的な非対称曲線様式を実現,これが建築における最初のアール・ヌーボー建築となった。次いでソルベー邸 (1895~1900) ,人民の家 (1896~99) などを同様の曲線様式で建てたが,20世紀に入るとしだいに古典的な作風に変わった。フランクフルトのグランド・バザール百貨店 (1903) ,パレ・デ・ボザール (1922~28) ,ブリュッセル中央停車場 (1937~52) などが後期の代表作である。 2000年,ソルベー邸を含むブリュッセルの4軒の邸宅が世界遺産の文化遺産に登録された。

オルタ
Horta

ポルトガル,アゾレス自治地方の町。イベリア半島西方,北大西洋上のポルトガル領アゾレス諸島中部,ファイアル島の南東岸に位置する。 1466年建設。北大西洋海底ケーブルの中継地で,海洋無線の送信局,海空軍基地などがある。ファイアル島および周辺のフロレスピココルボの各島ではワインオレンジ,干魚,酪農製品を産する。人口 4907 (1991推計) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルタ」の意味・わかりやすい解説

オルタ
おるた
Victor Horta
(1861―1947)

ベルギーの建築家。アール・ヌーボーの建築の世界的な流行に先駆的な役割を果たした。ガンに生まれる。17歳のときパリに出て、展示装飾などの仕事についたが、まもなく帰国、1881年からブリュッセルの美術学校で建築を学ぶ。卒業後、建築家A・バラの下で働いたのち独立し、住宅などの設計を始めた。93年ブリュッセルに完成したタッセル邸によって一躍注目を浴びた。平面(プラン)の柔軟さ、鉄骨構造の大胆な利用、激しい曲線的装飾などの特色は、その後のソルベイ邸(1894)、エートフェルド邸(1897)、自邸(1900)などに継承、発展した。他方、人民会館(1899)、アノバシオン百貨店(1901)などのビルでは、鉄骨構造の有機的構成で注目された。1932年、男爵の爵位を受けた。

[長谷川堯]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「オルタ」の意味・わかりやすい解説

オルタ

ベルギーの建築家。ヘントに生まれ,ブリュッセルに定住。バン・デ・ベルデらとともに機能主義を唱え,アール・ヌーボー様式の建築を確立した。鉄を素材として曲線の構成を多用したタッセル邸(1892年―1893年)はその嚆矢(こうし)とされる。1913年ブリュッセル芸術協会会長,1927年のジュネーブ国際連盟競技設計の審査委員長。自邸(1898年)は現在オルタ博物館となっている。その設計によるブリュッセルの一群の邸宅建築は2000年に世界文化遺産に登録された。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のオルタの言及

【アール・ヌーボー】より


[ヨーロッパ大陸,アメリカへの波及]
 イギリスのアール・ヌーボーがまず波及したのはベルギーであった。オルタはタッセル邸,ソルベー邸などの建築・室内装飾で,鞭あるいはつる草のような曲線を多用した。またバン・デ・ベルデは,あらゆる領域を手がけた総合的なデザイナーで,後にバウハウスにも大きな影響を与えている。…

※「オルタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android