オルテガ・イ・ガセット(英語表記)Ortega y Gasset, José

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オルテガ・イ・ガセット」の意味・わかりやすい解説

オルテガ・イ・ガセット
Ortega y Gasset, José

[生]1883.5.9. マドリード
[没]1955.10.18. マドリード
スペインの思想家,哲学者。 20世紀におけるスペインの文芸復興の指導的人物。ドイツ留学後マドリード大学哲学教授に就任 (1910) 。スペイン内乱後はヨーロッパ各地,アルゼンチン亡命,1945年帰国。哲学においては,生の哲学に立ち,個々人の生こそ究極の実在であり,その生を把握する理性は生のなかに位置づけられた理性,「生・理性」であるとした。この「生・理性」の立場から導かれたのが認識論としての遠近法主義である。すなわち,いかなる認識も一定の視点からの認識であり,絶対的真理はこれらのあらゆる視点を包括することによって到達される。この独自の生の哲学から現代の精神状況を批判し,現代ヨーロッパ思想に大きな影響を与えた。主著『現代の課題』 El tema de nuestro tiempo (23) ,『大衆反逆』 La rebelión de las masas (30) など。

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大学事典 「オルテガ・イ・ガセット」の解説

オルテガ・イ・ガセット
José

スペインの哲学者。生のための理性を主張して,生の生産物としての文化を論じ,国家や芸術などを対象とした多様な批評をおこなった。W. ディルタイやG. ジンメルと同様な「生の哲学」の立場に立つ。マドリード大学(スペイン)(現,マドリード・コンプルテンセ大学)で学んだ後,ドイツのマールブルク大学などに留学して新カント派の哲学の影響を受けた。帰国後にマドリード大学の形而上学教授となった。著名な『大衆の反逆』(1929年)では,19世紀リベラリズムの頽廃と危機的状況を論じ,共存の「文明」の可能性を主張する。1930年,この危機意識の下で書かれた『大学の使命』では,科学的探求や研究よりも教育を大学の第一の使命として位置づけ,とりわけ生の混沌から抜け出す理念の総体としての教養の教育を主張した。この大学論は概ね英米では好意的に受け入れられたが,フンボルト以降研究中心の大学を模索していたドイツでは批判的に受け取られた。
著者: 児玉善仁

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百科事典マイペディア 「オルテガ・イ・ガセット」の意味・わかりやすい解説

オルテガ・イ・ガセット

スペインの文化哲学者。マドリード大学教授。内乱時代は亡命生活を送った。人間論,現代世界論を展開,〈私は私と私の環境である〉との命題ユクスキュルの生物学的環境概念に並行するものであり,その遠近法主義はニーチェに連なる。主著《大衆の反逆》(1930年)は大衆社会論の古典。著作はほかに《ドン・キホーテをめぐる省察》(1914年),《体系としての歴史》(1943年)など。
→関連項目コラール

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルテガ・イ・ガセット」の意味・わかりやすい解説

オルテガ・イ・ガセット
おるてがいがせっと

オルテガ・イ・ガセー

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