オープン・ユニバーシティ(読み)おーぷんゆにばーしてぃ(英語表記)Open University

翻訳|Open University

大学事典 の解説

オープン・ユニバーシティ

ラジオ・テレビなどの放送メディア,通信教育,印刷教材,サマースクールなどを多角的に用いて,成人に対し開かれた大学教育の機会を提供すべく1969年イギリス(UK)に創設された。世界に先駆けて大学に遠隔教育を導入し,この種の大学・高等教育機関のモデルとされる。入学の資格・要件を問わず,21歳(現在は16歳)以上であれば誰でも入学可能で,自宅をベースに学習することができる。発足にいたるまで「wireless university」「teleuniversity」「University of the Air」等さまざまな名称がその理念とともに提案されたが,最終的に「オープン・ユニバーシティ」となった。誰でも,どこでも,あらゆるメディアを用いて学べるというのが「オープン」の意味である。2010年現在,博士学位を含む600を超す多様な学習コースを提供。約15万人が学士課程に,3万人以上が大学院課程に在籍している。ほぼ全員がパートタイム学生(学士課程の学生の約70%がフルタイムで就労)。なお,2万5000人を超す学生はイギリス(UK)以外に在住。入学資格を問わないにもかかわらず,その教育の質は全英トップクラスと評価されている。研究面でも,たとえば大学教授法や大学評価分野で指導的な役割を果たしている。
著者: 安原義仁

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

知恵蔵 の解説

オープン・ユニバーシティ

オープン・ユニバーシティは、一般社会人の生涯学習機関として1969年設立、71年に開校された英国の大学。公開大学と訳される。63年に労働党党首ウィルソンが行った提案がきっかけとなり、University of the Airの名で構想された。放送を教育の手段とすることが特徴で、テレビ・ラジオの講座の視聴のほか、通信教材による家庭学習、地区センターでのカウンセラーチューターによる面接指導・演習夏期には1週間のスクーリングが行われる。卒業は最終試験によって判定される。80年以後、オーストラリア、中国など数カ国で同種の大学が誕生している。日本の放送大学は、83年に特殊法人として開学、85年4月に学生受け入れを開始し、2003年10月に「特別な学校法人」となった。添削指導や学習センターでの面接授業が行われている点は英国の公開大学と同じだが、放送学習の比重が高いのが特色。また、全科履修生の場合のみ、高校卒業、または大学入学資格が必要となっている。98年1月から、通信衛星を利用した全国放送が開始された。専用のアンテナ及び受信機をセットすれば、全国どこでも視聴できる。02年度には大学院(修士課程)がスタートした。

(新井郁男 上越教育大学名誉教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

オープン・ユニバーシティ
Open University

イギリスの社会人を対象にした高等教育施設。1971年1月ミルトンケーンズに開設され,283km2の広大な校地を有している。設置の目的は万人に高等教育の機会を提供することにあり,入学要件に学歴は含まれていない。教育課程は大学の職員が総括して編成,管理し,テレビジョン,通信,学習グループ,通学,セミナーなど,さまざまな方法を活用して実施される。

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