カイマン(英語表記)caiman

翻訳|caiman

精選版 日本国語大辞典 「カイマン」の意味・読み・例文・類語

カイマン

〘名〙 (caiman) 中南米にすむアリゲーター科のワニ総称アマゾン、オリノコなどの河川に多く、大きいものは四・五メートル、小さいもので二メートル以下の種類を含む。性質は比較的温和。〔物類品隲(1763)〕

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デジタル大辞泉 「カイマン」の意味・読み・例文・類語

カイマン(caiman)

アリゲーター科の一群のワニ。クロカイマンメガネカイマンなどで、全長約2メートル。性質は、一般におとなしいものが多い。南アメリカアマゾン川オリノコ川ギアナ分布
[類語]わにガビアルクロコダイルアリゲーター

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改訂新版 世界大百科事典 「カイマン」の意味・わかりやすい解説

カイマン
caiman

アリゲーター科のうちカイマンの名がつくワニ類の総称。メキシコ南部から南アメリカの熱帯地方に5種が分布している。一般にもっともよく知られているメガネカイマンCaiman crocodilus(英名spectacled caiman)は,全長の平均1.5~2m,最大は2.5m,中央アメリカ南部から南アメリカのパラグアイまで広く分布する。眼の前方にある隆条が,あたかも眼鏡をかけたように見えるのが名の由来。餌は魚類甲殻類両生類などで,成長に伴い水辺にくる小哺乳類をもとらえるようになる。4~7月ごろ,水ぎわの土に植物の切片を集めて巣をつくり,18~40個ほどを産卵する。子ワニは2ヵ月ほどで孵化(ふか)。メガネカイマン類の子ワニはペットとして日本でも多数が飼育されている。性質がおとなしくよく慣れるが,成長するとかみつくことがある。吻(ふん)部が短いクチヒロカイマンC.latirostris(全長約2.5m)は,メガネカイマンと混生している。コビトカイマンPaleosuchus palpebrosusは全長約1.2m,ブラジルカイマンP.trigonatusは1.5mほどといずれも小型。クロカイマンMelanosuchus nigerは大型で全長3~4m,最大は5mに達する。アマゾン流域に分布し,性質が荒くてアリゲーター科のワニでは唯一の危険種とされる。カイマン類は腹鱗板に骨質板が発達するため,皮革用として良質ではない。しかしペット用として大量に捕獲され,狩猟の対象ともなって激減したため,現在では各種が厳重に保護されている。
ワニ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カイマン」の意味・わかりやすい解説

カイマン
かいまん
caiman

爬虫(はちゅう)綱ワニ目アリゲーター科カイマン亜科に属するワニの総称。鼻孔に骨質の隔壁がなく、腹鱗板(ふくりんばん)には骨質板がよく発達し瓦(かわら)を並べたように重なる点でアリゲーター亜科とは別グループに分けられる。さらに前顎骨(ぜんがくこつ)の歯の数、虹彩(こうさい)の色彩、眼窩(がんか)の形状などの相違によって3属5種に分類されている。日本でも子ワニがペットとして人気のあるカイマン属Caimanは比較的吻部(ふんぶ)が細長く、メガネカイマンC. crocodilusは基亜種のメガネカイマンC. c. crocodilusのほか、パラグアイカイマンC. c. yacare、マグダレナカイマン(パナマカイマン)C. c. fuscusおよびアパポリスカイマンC. c. apaporicensisの4亜種に分けられる。このうち日本でもよくみられるのはメガネカイマンで、全長2.5メートル、顔を前方からみると、目の前にある眼窩の形が眼鏡をかけているようにみえる。アマゾン流域南部にすむクチヒロカイマンC. latirostrisは地域によりメガネカイマンの仲間と混生している。コビトカイマン属Paleosuchusにはともに全長1.2メートルほどのコビトカイマンP. palpebrosusとブラジルカイマンP. trigonatusがいる。一方、クロカイマン属MelanosuchusのクロカイマンM. nigerはオオカイマンの別名のとおり最大5メートルに達し、カイマンの仲間では唯一の危険種とされる。

 カイマン亜科のワニは腹鱗板が骨化して硬いため、ワニ皮としての価値が低いものの、剥製(はくせい)やペット用として大量に捕獲され、著しく減少している。また、餌(えさ)は小動物や魚類で、カメを食べることもある。

[松井孝爾]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カイマン」の意味・わかりやすい解説

カイマン
caiman

ワニの呼び名の一つで,アリゲーター科の3属,すなわちカイマン属 Caiman,クロカイマン属 Melanosuchus,コビトカイマン属 Palaeosuchusに含まれる5種がその名で呼ばれる。最大種はクロカイマン M. nigerで体長 4.5mになる。メガネカイマンは体長 1.5~2.5mぐらいになり,ときにペットとして売られるが,性質が荒く,成長するにつれて飼育が困難になる。他の3種は,クチヒロカイマン C. latirostris,コビトカイマン P. palpebrosus,ブラジルカイマン P. trigonatusである。

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百科事典マイペディア 「カイマン」の意味・わかりやすい解説

カイマン

アリゲーター科カイマン亜科のワニ。メキシコ南部から南アメリカの熱帯地方に5種が分布している。吻(ふん)の形はややクロコダイルに似る。目の間の隆条が発達し,腹鱗板はすべて骨化している。日本でも多数飼育されているメガネカイマンは,全長が平均1.5〜2m,最大は3m。性質はおとなしくよく慣れるが,成長するとかみつくことがある。アマゾン流域に分布するクロカイマンは,大型で5mに達し,アリゲーター科のワニでは唯一の危険種とされる。
→関連項目アリゲーター

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世界大百科事典(旧版)内のカイマンの言及

【アリゲーター】より

…子ワニは全長15cmほどで,1年後には30cmに育ち,6年くらいで成熟する。カイマンcaimanは5種がメキシコ南部から熱帯アメリカに分布し,大半が2m前後の小型で,とくにコビトカイマン,ブラジルカイマンは平均1.5mほど。しかしクロカイマンは全長3~4m,最大5mに達する大型で,性質も荒くアリゲーターでは唯一の危険種。…

【アリゲーター】より

…ヨウスコウワニAlligator sinensis(全長2m)1種だけが他とかけ離れてアジア大陸に分布するが,ヨーロッパ,アメリカ大陸から同系統のワニ化石種が発見されており,過去における連続分布が推測できる。 アリゲーター科は頭骨,鱗板などの構造の相違により,アリゲーター類,カイマン類の2群に分けられる。前者はヨウスコウワニとミシシッピワニA.mississippiensis(イラスト)の2種からなる。…

※「カイマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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