カコミスル(読み)かこみする(英語表記)cacomistle

デジタル大辞泉 「カコミスル」の意味・読み・例文・類語

カコミスル(cacomistle)

アライグマ科の哺乳類アメリカ合衆国メキシコ分布。頭胴長30~45センチ、体重8~11キロ。雑食性

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カコミスル」の意味・わかりやすい解説

カコミスル
かこみする
cacomistle
[学] Bassariscus astutus

哺乳(ほにゅう)綱食肉目アライグマ科の動物。英語ではring-tailed catともいい、また和名は同じ属の別種クロアシカコミスル(マルミミカコミスル)と区別してオオミミカコミスルともいう。アメリカ合衆国オレゴン州以南の、北アメリカ西部からメキシコまで分布する。平地から3000メートル以上の山地で木が生える岩場に単独ですむ。体長30~40センチメートル、尾長31~44センチメートル。体は灰茶色で下面は白色、尾は黒地に7~8本の白色輪が目だつ。耳は三角形で大きく、顔はキツネに似る。体形は細く、リスのようにもみえる。夜行性で、主食は小形の哺乳類、鳥、卵、昆虫と果実である。妊娠期間は2か月で、5~6月に2~4頭の子が生まれる。動物園でも飼育されるが、繁殖例は多くない。

 別種のクロアシカコミスルB. sumichrastiは、メキシコ南部からパナマにかけて分布する。オオミミカコミスルより大形で、耳の先は丸い。カコミスルの名は、メキシコでの呼び名に由来する。

[祖谷勝紀]

『今泉吉典監修『世界の動物 分類と飼育2 食肉目』(1991・東京動物園協会)』『E・T・シートン著、今泉吉晴監訳『シートン動物誌5 スカンクの社交術』(1998・紀伊國屋書店)』

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改訂新版 世界大百科事典 「カコミスル」の意味・わかりやすい解説

カコミスル
cacomistle
Bassariscus astutus

尾が長く白黒の輪がある食肉目アライグマ科の哺乳類。オレゴン,コロラドテキサスからメキシコ南部まで分布。体長30~38cm,尾長31~44cm,体重870~1100g。小型のイエネコに似るが,耳介がまるく大きく,吻(ふん)がとがり,尾が太く長い。目が大きく,つめは半ば引き込めることができる。体毛は軟らかく,体の上面は淡黄褐色,毛端は黒色,体の下面は白色,尾には約7本ずつの黒と白の輪状斑があるので,英名ではringtail,またはring-tailed catともいう。水に近い岩場や荒れ地を好み,ふつう単独かつがいで暮らすが,一時的に群れをなすことがある。昼は岩穴,樹洞,廃屋などに潜み,夜出て果実,ネズミ,小鳥,昆虫などを食べる。巧みに木に登るが,おもに地上で活動する。5~6月に1~5子を生む。雌雄が協力して育て,子は4ヵ月で離乳する。飼育下での寿命は約8年。毛皮は良質,毛皮商はCalifornia minkと呼ぶ。メキシコ南部からパナマにすむクロアシカコミスルB.sumichrastiは耳介がとがり,尾がさらに長く,樹上生。
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