カシラエビ類(読み)カシラエビるい(英語表記)horseshoe shrimp

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カシラエビ類」の意味・わかりやすい解説

カシラエビ類
カシラエビるい
horseshoe shrimp

カシラエビ綱 Cephalocaridaに属する甲殻類総称。カシラエビ目 Brachypodaの 1科 10種が知られている。体長 4mm以下の小型種で,体は大きな頭部,短い 9節からなる胸部,10節からなる棒状腹部に分けられる。頭部背面には特別の構造はなく,内部に複眼がある。頭部の下面には 2対の触角と大顎,2対の小顎がある。胸部には各節に 1対の付属肢(胸肢)があり,前 7対は葉状である。腹部には付属肢がなく,最後の肛門節には 1対の長い尾叉が後方に伸びている。体内に卵巣精巣をもつ雌雄同体で,いずれも第6胸肢に共通の生殖孔として開口している。縮小している第9胸肢で受精卵を保持し,メタノープリウス期(→ノープリウス)に相当する時期で孵化する。繁殖行動に関する詳細は不明であるが,自家受精をしている可能性が高い。小型種であることや一般的な外形からカイアシ類との類縁関係が想定されるが,胸肢の分化程度が低いこと,すなわち同規的体節制を残していることや付属肢の構造などからは原始的な甲殻類であるムカデエビ綱 Remipedia(→ムカデエビ類)との類縁が示唆され,分子系統学的な分析からもこれが支持されている。日本産のカシラエビ Sandersiella acuminata は体長約 2.5mmで,九州西岸の天草諸島瀬戸内海燧灘の浅海泥底から得られる。(→節足動物

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