日本大百科全書(ニッポニカ) 「カスターニョ」の意味・わかりやすい解説
カスターニョ
かすたーにょ
Andrea del Castagno
(1421/1423―1457)
イタリアの画家。フィレンツェでマサッチョやウッチェロといった先輩の画風を学びながら成長するが、1442年にはベネチアに招かれ、サン・ザッカリア聖堂の祭室(アプス)の装飾に従事している。44年にフィレンツェに帰り、翌45年から50年にかけてサン・タポロニア修道院に『最後の晩餐(ばんさん)』および3面の受難図を描いたが、これらの作品は当時大きな反響をよんだという。また彼はレニャイアのパンドルフィーニ家別荘に9人の男女著名人の等身以上の肖像画を制作した(のちにサン・タポロニア修道院の食堂に移された)。51年からは、ドメニコ・ベネチアーノが制作を放棄したサン・テジディオ聖堂のフレスコ画を継続、完成するが、彼の画家としての力量がよく発揮されている作品はサンティシマ・アヌンツィアータ聖堂に描いた『聖ユリアヌス』である。56年にはフィレンツェ大聖堂に傭兵(ようへい)隊長ニッコロ・ダ・トレンティーノの騎馬肖像を制作したが、この作品は一般にカスターニョの最高傑作とされている。
[濱谷勝也]