カニ(蟹)工船(漁業)(読み)カニこうせん

百科事典マイペディア 「カニ(蟹)工船(漁業)」の意味・わかりやすい解説

カニ(蟹)工船(漁業)【カニこうせん】

船内に缶詰製造設備をもち,付属漁船が採集したカニを処理加工する母船。5000〜1万トン。対象は北部太平洋のタラバガニアブラガニなどで,漁期は大体4〜10月。ふつう工船1隻に,漁場刺網を張る50〜100トンの独航船数隻と,網を引き上げカニを採集して工船に運ぶ約10トンの川崎船と呼ばれる作業10隻内外で1船団を形成する。母船ではカニの甲を取り,海中で洗浄し,煮沸した後,また海中で冷却し,肉を取り出し,選別・秤量して,缶に詰める。その後,仮巻締,真空巻締,加熱殺菌から不良品検出まで一貫して行い,倉庫に格納する。カニ工船による母船式カニ刺網漁業は,国際的漁業で,日米加漁業条約日ソ漁業条約などで制限を受け,1976年限りで廃止になった。
→関連項目漁船

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