カワゴロモ(読み)かわごろも

改訂新版 世界大百科事典 「カワゴロモ」の意味・わかりやすい解説

カワゴロモ (川衣)
Hydrobryum japonicum Imamura

南九州の渓流の岩に付着する,コケによく似たカワゴケソウ科多年草。鹿児島県の雄川,神川,高須川,宮崎県の大淀川などの上流にまれに生育する。属の学名Hydrobryumは,〈水中のコケ〉の意味で,コケ植物に似た形をしている。扁平で緑色の根によって固着し,光合成を行う点はカワゴケソウと同じだが,カワゴケソウの葉状の根が羽状に分枝するのに対し,カワゴロモでは円形である。本当の葉は糸状または鱗片状で長さ1cm程度。秋に開花し,花はおしべ2本,めしべ1本,針状の花被片2枚からなり,小さく目だたないが芳香があり,虫媒花である。卵形蒴果(さくか)に,多数の微小な種子をつける。日本にはカワゴロモ属は3種あり,他の2種は南九州,屋久島に産する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワゴロモ」の意味・わかりやすい解説

カワゴロモ
かわごろも / 川衣
[学] Hydrobryum japonicum Imamura

カワゴケソウ科(APG分類:カワゴケソウ科)の多年草。根は扁平(へんぺい)な葉状体となり、円形で浅く裂け、上面数か所に針状葉を束生する。花茎上の葉は少数で2列に互生し、鱗片(りんぺん)状で分裂しない。花期は10~12月。雄しべは1、2本で、下部で合生し、蒴果(さくか)は円形で脈があり、2等片に分かれ、各片とも宿存する。急流の岩に生え、九州南部の限られた河川のほか、中国や東南アジア北部にも分布する。カワゴケソウとともにこの科の日本産2属中の代表種で、前者より各部とも小形で単純であり、蒴果に脈がある点が異なる。

[小林純子 2020年7月21日]

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百科事典マイペディア 「カワゴロモ」の意味・わかりやすい解説

カワゴロモ

カワゴケソウ

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