カーシェアリング(読み)かーしぇありんぐ(英語表記)carsharing

デジタル大辞泉 「カーシェアリング」の意味・読み・例文・類語

カー‐シェアリング(car sharing)

自動車複数の個人会員や会社で共有し、互いに利用する仕組み。欧米普及。平成14年(2002)日本でも事業化が始まる。維持費メンテナンス手間などが省け、短時間短距離の利用ならレンタカーより割安という。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーシェアリング」の意味・わかりやすい解説

カーシェアリング
かーしぇありんぐ
carsharing

登録した複数の会員が自動車を共同利用するシステム、有料サービスのこと。車の所有・維持費用がかからないうえ、必要に応じて15分から30分といった短時間単位で、またレンタカーより低い料金で利用できることが多い。ヨーロッパで普及しており、消費者の節約志向が強まる日本でも2008年(平成20)以降、車の新たな利用形態としてカーシェアリングを提供する企業が増えている。カーシェアリングの普及は車の効率利用を促し、環境対策や渋滞解消にもつながるとみられている。

 カーシェアリングは1980年代にヨーロッパで始まり、1990年代にアメリカカナダにも広がった。2006年時点で世界18か国600都市において運営されており、スイスでは全人口の1%程度が利用している。日本では1990年代末から本格的なサービスが始まり、東京、名古屋、京都、福岡などの都市部に広がっている。レンタカーと異なり、利用できるのは登録した会員のみだが、入会金と月々の利用料を払い、インターネットや電話で予約すれば、自由に車を利用できる。料金は企業によってまちまちだが、15分ごとに200~400円前後と、走行1キロメートルごとに20円程度(走行距離ごとの料金をとらない企業もある)であり、6時間単位で借りるレンタカー(通常料金は数千円程度)よりも短時間利用の場合は割安になるケースが多い。レンタカーのように1回ごとに手続をする必要がなく、ICカードや携帯電話でドアロックを解除して、無人のカーシェアリング拠点から乗るのが一般的である。料金はICカードなどの利用履歴に応じて、毎月精算され、返却時にガソリンを補充する必要もない。

 交通エコロジー・モビリティ財団の調査では、2010年(平成22)1月時点で、全国に約30のカーシェアリング事業者があり、会員登録者数は全国で約1万6000人と、過去5年で10倍に増えた。レンタカー会社、駐車場会社、自動車ディーラー、総合商社などが相次いでカーシェアリング事業に参入している。

[編集部]

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知恵蔵 「カーシェアリング」の解説

カーシェアリング

渋滞や駐車場不足の解消などを目的に、1台の車を複数の人が共同で使うこと。日本では1999年から横浜市や京都市、東京都内の複数の自治体などで実験が行われ、横浜では2002年に事業会社が設立された。政府関連法人や自治体が主導、電気自動車や低公害ガソリン車を使っているのが特徴。普及には、マイカー意識の克服が課題といわれる。世界的には80年代後半にスイスで始まり、欧州各地や米国に広がっている。

(平栗大地 朝日新聞記者 / 松村北斗 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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