カーゾン(英語表記)Curzon, George Nathaniel, 1st Marquis of Kedleston

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カーゾン」の意味・わかりやすい解説

カーゾン
Curzon, George Nathaniel, 1st Marquis of Kedleston

[生]1859.1.11. ダービーシャー,ケドルストン・ホール
[没]1925.3.20. ロンドン
イギリスの政治家。 1886~92年保守党所属下院議員。早くから東洋に対する強い関心をもち,87年以降数年にわたって東洋諸国を歴訪。その結果『中央アジアにおけるロシア』 Russia in Central Asia (1889) などの著書を刊行インド次官 (91~92) ,外務政務次官 (95~98) を経て,99年インド総督就任ベンガル分割や民族運動抑圧など帝国主義的政策を強力に遂行したが 1905年に辞任。 07年オックスフォード大学総長。第1次世界大戦中の連立内閣に国璽尚書 (1915~16) として入閣。さらに枢密院議長 (16~19) に転じ,ロイド・ジョージ戦時少数内閣の閣僚および貴族院首領として活躍した。戦後は外務大臣 (19~24) として,ロイド・ジョージ連立内閣,A.ローおよび S.ボールドウィンの保守党に引続き席を占め,21年侯爵を授かる。その間ローザンヌ会議 (22~23) を主宰して,トルコにおけるイギリスの威信を回復し,23年にはルール占領に伴う独仏間の緊張緩和に尽力した。 24年末から没するまで,再び枢密院議長をつとめた。

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改訂新版 世界大百科事典 「カーゾン」の意味・わかりやすい解説

カーゾン
George Nathaniel Curzon
生没年:1859-1925

イギリスの政治家,旅行家。少年時代から東洋の神秘に強くひかれ,アジア地域を中心に数多く旅行。この間,《中央アジアのロシア》(1889),《ペルシアとその問題》(1892),《極東の諸問題》(1894)などを著す。政治家としては,ソールズベリー内閣のインド次官,外務次官を経て,念願のインド総督(副王,1899-1905)に就任。在任中,ベンガル分割(1905)をはじめとする露骨な植民地政策を遂行し激しい反英民族運動を招いた。第1次大戦後は外務大臣(1919-24)として国際秩序の再編成に努めるが,イギリス帝国の強化・防衛を軸とする頑固な帝国主義者としての姿勢は変わることがなかった。
カーゾン線
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「カーゾン」の解説

カーゾン
George Nathaniel Curzon

1859~1925

イギリスの帝国主義政治家。政治的信念を実現するためにインド総督になることを熱望し,1899年,その地位を手に入れた(在任1899~1905)。ロシアのインドへの脅威を防ぐために,ペルシア湾アフガニスタンなどで露骨な帝国主義政策をとり,本国政府と対立。1905年,民族運動を分断するためにベンガル分割令を発したが,逆に未曾有の反対運動を引き起こしてしまった。帰国後は外相などを歴任。行政改革,飢饉対策の見直し,インド考古局の創設などの功績もある。

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旺文社世界史事典 三訂版 「カーゾン」の解説

カーゾン
George Nathaniel Curzon

1859〜1925
インド総督・イギリス外相
インド総督在任中にラサを占領し,ベンガル分割令などの植民地政策を実施した。第一次世界大戦後は外相として1919年カーゾン線を提案,これにもとづいてほぼ現在と同じポーランドの東部国境線が決定された。

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世界大百科事典(旧版)内のカーゾンの言及

【カーゾン線】より

…ほぼ現在のウクライナ(当時はソ連邦の構成共和国)・ポーランドの国境を成す線。北半は1919年12月に連合国最高会議によって,南半はポーランド・ソビエト戦争中の20年7月にイギリス外相G.N.カーゾンによって提唱され,合わせてカーゾン線の名をもって知られる。ほぼ民族誌的境界線に一致する。…

※「カーゾン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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