ガスタービン動車(読み)がすたーびんどうしゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガスタービン動車」の意味・わかりやすい解説

ガスタービン動車
がすたーびんどうしゃ

動力源としてガスタービンを使用して、乗客貨物を積載して走る車両。ガスタービンの特長は、小型・軽量で大出力を得られ、ディーゼルエンジンと比較して、馬力当り重量は約10分の1程度であることから、1960年代に入って、動力分散方式の車両に取り付け、列車の高速化を図ろうとの試みが各国で活発になった。66年にはアメリカ、翌67年にはフランスで走行試験が行われている。日本では、67年(昭和42)から研究が進められ、72年に国鉄(現JR)のキハ391形ガスタービン動車が製造された。しかしガスタービンは、燃料消費量が大きいこと、高速回転のため減速装置が複雑になること、軽負荷状態では効率が低いこと、騒音が大きいので消音装置・遮音構造が必要であることなどの欠点があり、国内では営業運転されるところまで至らなかった。

[渡辺正久]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のガスタービン動車の言及

【気動車】より

…旅客あるいは荷物を積んで自走できる鉄道車両のうち電車を除いたものの総称で,広くはこれらと連結して走行する動力装置をもたない制御車および付随車も含める。原動機に蒸気機関を用いる蒸気動車,ガソリンエンジンを用いるガソリン動車,ガソリンエンジンを用いるが燃料には木炭ガスなどを利用するガス動車,ディーゼルエンジンを用いるディーゼル動車(ディーゼルカー)およびガスタービンを用いるガスタービン動車があり,このうち蒸気動車以外を内燃動車と総称することもある。また車輪への動力伝達方式には,クラッチと歯車を介して車輪を駆動する機械式,原動機で発電機を運転し,これによって得られる電気で電動機を回し減速歯車を介して車輪を駆動する電気式,流体変速装置を介して車輪を駆動する液体式の3種類がある。…

※「ガスタービン動車」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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