ガス器具(読み)がすきぐ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガス器具」の意味・わかりやすい解説

ガス器具
がすきぐ

ガスを燃焼させたときに発生する熱を利用した器具。用途別に分類するとガスこんろ、ガステーブル、ガスレンジなどの調理用器具、ガス湯沸かし器、風呂釜(ふろがま)などの温水器具、ストーブなどの暖房器具がある。ガスは供給形態により都市ガスLPガス液化石油ガス、通称プロパンガス)に大別される。都市ガスの原料にはLNG液化天然ガス)、ナフサ、LPガスなどのほか、石炭なども一部では使われている。全国で使われている都市ガスは14種類ある。これは製造設備や規模、立地条件などによって使用する原料が違うため、ガスの組成や発熱量比重、燃焼速度などが異なる。LPガスはプロパンやブタンなどの混合割合により、い~は号に分けられるが、家庭用はほとんどがプロパン80%以上のい号である。

 ガス器具はガス事業法およびLPガス法によって、特定のガスが効率よく燃えるようにノズル口径や炎孔の大きさなどがそれぞれ決められており、使用可能なガスの種類が器具に表示されているので、購入時や転居の際にはよく確かめることがたいせつである。政令で指定されている品目については、都市ガス用、LPガス用とも国家検定に合格したものでなければ販売できず、検定品には合格証が添付されている。また経済産業省では、ガス器具の修理に必要な性能部品の最低保有期間(製品の製造を打ち切ったときからの年数)を定めている。ガスの燃焼には多量の空気が必要なので、換気には十分気をつけなければならないが、換気がむずかしい場合にはバランス式(BF式)器具の使用が望ましい。またゴム管の傷みはガス漏れにつながるので、ときどき点検して2~3年で交換し、かならず安全バンドで止める。バーナーの炎孔が煮こぼれやほこりなどで目詰まりすると不完全燃焼の原因になる。金属ブラシなどでこまめに手入れしておくことがたいせつである。

[正木英子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガス器具」の意味・わかりやすい解説

ガス器具
ガスきぐ
gas appliance

ガスを燃焼させ,発生した熱を利用するための器具。燃焼装置 (バーナー) ,点火装置,制御装置,安全装置,給排気部の5つの基本的な構成要素から成る。燃焼させるガスの量と発熱量によりその能力が決り,この能力を表わす用語として普通「インプット」が用いられる。これは1時間に消費されるガス量に発熱量を乗じたもので,ガス器具に供給された入熱量を表わしている。発生した熱の全部を有効に役立てることができれば最も望ましいが,実際には周辺の器物や空気を熱したり,燃焼排ガスによって相当量の熱が持去られる。発生する全熱量のうち何パーセントが有効に利用されたかを表わす割合を熱効率,有効に利用した熱量のことを「アウトプット」と呼び,アウトプット (kcal/h) =インプット (kcal/h) ×熱効率 (%) /100で表わす。燃焼性の良否はガス器具の性能の基本的なもので,不完全燃焼,逆火および煽火などを起さない器具でなければならないことはもちろん,供給されるガスは多少の組成の変動は避けられないので,ガスの組成変動に対しても十分余裕のあるものであることが必要である。加熱対象によって家庭用ガス器具を大別すると,厨房用器具,温水用器具,暖房用器具の3つとなる。セラミックスを利用したガスセンサが開発されて安全性は一段と向上した。さらに,都市ガスなどを利用した冷房用ガス器具の普及も始っている。

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世界大百科事典(旧版)内のガス器具の言及

【都市ガス】より

…ガスの燃焼器具はこのような要求を満足するよう設計されているが,都市ガスの燃焼性はその発熱量,燃焼速度,組成,比重などによって異なる。したがって,ガス器具はその地域に配給されている都市ガスの燃焼には適していても,他の都市ガスには不適当である場合がある。引越しなどの折にはガス器具の改造,買換えなどが必要となることもある。…

※「ガス器具」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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