キチマダニ(読み)きちまだに

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キチマダニ」の意味・わかりやすい解説

キチマダニ
きちまだに / 黄血真壁蝨
黄血真蜱
[学] Haemaphysalis flava

節足動物門クモ形綱ダニ目マダニ科チマダニ属の吸血性のダニ。背甲板は黄色みを帯び、未吸血雌の体長3ミリメートル弱、満腹すると8ミリメートルにも達する。日本各地でほぼ一年中活動しており、地上のあらゆる野生哺乳(ほにゅう)類や多くの野鳥を吸血する。イヌマダニまたはイヌチマダニとよばれたこともある。ノウサギ野兎)にもっとも普通にみられ、東北地方のノウサギの間に野兎病伝播(でんぱ)するが、ヒトが刺されることはきわめてまれである。

山口 昇]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のキチマダニの言及

【マダニ】より

…牧野では家畜の被害が多く,刺咬吸血による皮膚炎,貧血が見られるほか,ウシにはフタトゲチマダニHaemaphysalis longicornisによってピロプラズマ病が媒介される。また,ウサギ,イヌおよび人にはキチマダニH.flavaあるいはヤマトマダニIxodes ovatus(イラスト)によって野兎病(やとびよう)が伝播(でんぱ)される。マダニ類は世界に広く分布するが,日本からは40種以上が知られている。…

※「キチマダニ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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