キミオコゼ(読み)きみおこぜ(英語表記)longhorn firefish

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キミオコゼ」の意味・わかりやすい解説

キミオコゼ
きみおこぜ / きみ虎魚
きみ鰧
longhorn firefish
[学] Pterois radiata

硬骨魚綱カサゴ目フサカサゴ科に属する海水魚。高知県以南、太平洋、インド洋に広く分布する。ミノカサゴ類のなかで、胸びれの鰭膜(きまく)が鰭条の先端まで伸びていないこと、背びれ棘(きょく)は12本であることなどでネッタイミノカサゴに似るが、吻端(ふんたん)に皮弁がないこと、尾柄(びへい)部に2本の白色の水平に走る帯状斑(はん)があること、胸びれに黒斑がないことなどで異なる。前と後ろが細い白線で縁取られた8本の褐色の帯が体を横切り、第1帯は目の上の皮弁から目を横切って鰓蓋(さいがい)の下部まで伸びる。沿岸の岩礁域やサンゴ礁域の外縁に生息。岩礁やサンゴ礁の穴やくぼみに潜むことが多い。体長は15センチメートルほどになる。

 ひれの棘(とげ)に強い毒があり、刺されると危険である。アンモニアは効かない。刺されたときは毒を絞り出し、ぬるま湯に浸けてもむとよい。水族館で飼育されることが多い。ほとんど食用にはされない。

[尼岡邦夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android