キングストンアポンハル(英語表記)Kingston upon Hull

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キングストンアポンハル」の意味・わかりやすい解説

キングストンアポンハル
Kingston upon Hull

イギリスイングランド東部の都市。単一自治体(ユニタリー unitary authority)。旧ヨークシャー県に属する。1974年の自治体再編でハンバーサイド県の一部となり,1996年に単一自治体となった。略称ハル。ロンドンの北約 250km,ハンバー川(→エスチュアリー)の北岸にあり,北海から約 35kmさかのぼった地点に位置する。中世に発展した町で,ハンバー川に注ぐハル川の最下流部西岸に形成され,12世紀後半に修道院が羊毛積出港を建設。1293年エドワード1世領地となってから,国王による保護と深い水路に恵まれる地の利を得て重要な港町として繁栄。18世紀末の経済発展に伴って市域は北,西,次いで東へと広がっていった。重要な海港で,ウェストヨークシャー地域やミッドランド地方東部を後背地とし,機械,自動車,化学製品などを輸出し,木材,油糧種子,穀物などを輸入する。北海油田の石油とガスの採掘・精製業は都市経済にとって重要。輸入原料の加工を中心とした工業都市でもあり,食品,化学,機械などの工業がある。旧市街はおもに商業・行政地区で,ホーリー・トリニティ聖堂,聖メアリー聖堂などの古い建築物が保存されている。ハル大学(1927)や,博物館,美術館,劇場などの文教施設がある。奴隷解放運動の推進者ウィリアム・ウィルバーフォースの生地で,その生家が奴隷貿易博物館として利用されている。西方ハンバー橋(1981)によって南部と連絡し,オランダベルギーなどとの間にフェリー就航。面積 71km2人口 24万9100(2005推計)。

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