ギューリック(英語表記)Luther Halsey Gulick

改訂新版 世界大百科事典 「ギューリック」の意味・わかりやすい解説

ギューリック
Luther Halsey Gulick
生没年:1892-1992

アメリカ行政学者。日本大阪に生まれる。コロンビア大学博士号を取得後,1920年から40余年にわたってニューヨークの行政研究所所長をつとめた。その間,数多くの連邦省庁および州・地方政府の調査研究活動に従事したが,なかでも有名なのは,ローズベルト大統領によって設置された〈行政管理に関する大統領諮問委員会〉に3人委員の一人として参画し,予算局を中心とする大統領府の中央管理機構の拡充案を主唱したことである。彼がアーウィックLyndall Urwickとともに上記諮問委員会の検討に資するために編んだ《Papers on the Science of Administration》(1937)は,行政・経営管理論の古典的文献となっている。
POSDCORB(ポストコルブ)
執筆者:

ギューリック
Sidney Lewis Gulick
生没年:1860-1945

アメリカ人宣教師ハワイや日本に関係の深い宣教師一家に生まれる。1888年来日熊本松山,大阪などで宣教活動をした後,1906年から同志社教授,京都大学講師として神学その他を教え,13年に帰国した。滞日25年間の知識を生かし多くの日本論を著したが,なかでも《日本人の進化》(1903)はP.ローエルの《極東の魂》(1888)に対抗し,日本人の〈進化〉を合理的に解明しようとしている。帰国後《日系アメリカ人の問題》(1914)などでアメリカ人の排日的態度批判,極東の平和と友好にもキリスト教会立場から尽力し続けた。
執筆者:

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朝日日本歴史人物事典 「ギューリック」の解説

ギューリック

没年:1923.9.18(1923.9.18)
生年:1830.10.7
明治期に来日したアメリカン・ボード宣教師。宣教師P.J.ギューリックの次男としてホノルルに生まれ,オアフ・カレッジに学び同地で宣教師を勤めたのち,明治4(1871)年来日。神戸のD.C.グリーンに合流。翌年大阪に転居,英語新約聖書を無料で講じ,多数の生徒を集めた。同7年神戸に戻り,翌年日本キリスト教界最初の週刊紙『七一雑報』の発刊に尽力。キリスト教内外の情報とともに,西欧文化,科学,衛生などの知識の普及に貢献。同16年以降,新潟,岡山,熊本など各地で伝道。同25年帰国,その後ハワイで日本人伝道を助ける。質素な生活ぶりは宣教師社会で目立った。兄弟,妹,甥も宣教師の一大宣教師一家のひとり。妻もハワイの宣教師の娘。<参考文献>茂義樹『明治初期神戸伝道とD.C.グリーン』

(小檜山ルイ)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギューリック」の意味・わかりやすい解説

ギューリック
Gulick, Luther H.

[生]1892.1.17. 大阪
[没]?
アメリカの行政学者。父は医師として YMCA運動にたずさわっていたが,両親が来日中に生れた。コロンビア大学教授,全米行政研究所所長などを歴任。 1921年から 40年にわたってニューヨーク市政調査会の理事長をつとめた。第2次世界大戦後,連合国の賠償使節団員として来日したこともある。編著として『行政学論集』 Papers on the Science of Administration (1937) がある。

ギューリック
Gulick, Orramel Hinckley

[生]1830
[没]1923
アメリカのプロテスタント宣教師。明治4 (1871) 年来日,日本で最初のキリスト教定期刊行物『七一雑報』発刊に協力。主として西日本で伝道。のちハワイに渡り,日系移民のために奉仕。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「ギューリック」の解説

ギューリック Gulick, Orramel Hinckley

1830-1923 アメリカの宣教師。
1830年10月7日生まれ。明治4年(1871)アメリカン-ボードから派遣されて来日する。8年神戸でわが国初の週刊キリスト教新聞「七一(しちいち)雑報」を創刊。新潟,岡山,熊本などで伝道し,25年ハワイにかえった。1923年9月18日死去。92歳。ホノルル出身。オアフ大卒。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のギューリックの言及

【行政】より

…この内部統制の一態様が行政管理である。アメリカの行政学者L.ギューリックは組織の最高管理者が担うべき管理機能として以下の七つの機能を列挙し,大規模な組織ではこれらの管理機能を分担して最高管理者を補佐する中枢管理機関の分化が必要であるとした。この七つの機能とは,planning計画,organizing組織,staffing人事,directing指揮監督,co‐ordinating調整,reporting報告,budgeting予算であり,ギューリックは各機能名の頭文字をつづりあわせて,POSDCORB(ポスドコルブ)なることばをつくりだした。…

※「ギューリック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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