日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ギルマン(Alfred G. Gilman)
ぎるまん
Alfred G. Gilman
(1941― )
アメリカの薬理学者。コネティカット州ニュー・ヘブン生まれ。地元エール大学で生化学を専攻し1962年に卒業。1969年ケース・ウェスタン・リザーブ大学で医学博士号を取得後、国立衛生研究所のM・ニーレンバーグのもとでサイクリックアデノシン一リン酸(cAMP:cyclic adenosine monophosphate)を研究。1977年バージニア大学薬理学教授。1981年にテキサス大学サウスウェスタン医学センター教授、薬理学部長となった。
1960年代にM・ロッドベルが、細胞膜受容体が受け取ったシグナルを細胞内に伝えるためには、受容体と実際に働く酵素の間で情報を変換する機能分子が必要なことを示した。1980年にギルマンは情報伝達系に変異をもつリンパ腫細胞を用いて、この機能分子の単離精製に成功した。さらに、グアノシン三リン酸(GTP)と結合して活性化することからGタンパク質と名づけられたこの情報変換分子の構造や働きを明らかにした。その後多くの種類のGタンパク質がみつかり、細胞の情報伝達機構研究の新しい分野が開かれた。これらの功績により、ロッドベルとともに1994年のノーベル医学生理学賞を受賞した。
[馬場錬成]