クライオポンプ(英語表記)cryo pump

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クライオポンプ」の意味・わかりやすい解説

クライオポンプ
cryo pump

極低温に冷却した面 (クライオ面) に入射してきた気体分子を凝縮させることにより捕獲し,排気を行う真空ポンプ。 100Kレベルと 20Kレベルの2段の到達温度を発生する小型ヘリウム冷凍機の開発が進み,それを用いた2種類の温度レベルのクライオ面をもつポンプが数多く使われるようになってきた。ポンプ内に油を使用していないので,清浄な真空が得られ,半導体産業などで需要が高まっている。クライオ面として研磨されたなめらかな面,あるいは多孔質吸着剤の表面を用いるが,後者は特にクライオソープションポンプ cryosorption pumpとも呼ばれている。 10-1Pa 以下の圧力領域で作動させ,到達真空度は 10-8Pa 程度である。通常の真空装置の残留ガスの主成分である水蒸気に対して非常に大きな排気速度 (数百~数万l/s) をもつ。現在のところ清浄な極高真空作成のための有力なポンプの一つである。

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化学辞典 第2版 「クライオポンプ」の解説

クライオポンプ
クライオポンプ
cryopump

気体分子を極低温に保った金属面やモレキュラーシーブに吸着させて,真空をつくり出す装置.液体ヘリウム4.2 K では,水素とヘリウム以外は固体となって表面に吸着される.モレキュラーシーブのような吸着面の広い吸着剤を用いれば,急速に超高真空が得られる.擬似宇宙空間の発生や,高密度集積回路の製造などに用いられている.室温に戻す際の圧力上昇に備えるため,安全弁を用意する必要がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のクライオポンプの言及

【真空ポンプ】より

…スチームエゼクター,油拡散ポンプ,水銀拡散ポンプなどがこの型式に入る。最後の物理・化学作用ポンプは,気体分子を物理的または化学的作用により捕集して真空を作るもので,容器中の気体分子をイオン化して電極で集積するイオンポンプをはじめ,ゲッター・イオンポンプ,クライオポンプなどがある。真空ポンプは1基で1atm以下の全領域にわたる真空を作りだす機能はもたず,2基以上のものを組み合わせる必要がある。…

※「クライオポンプ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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