クラメール(英語表記)Harald Cramér

改訂新版 世界大百科事典 「クラメール」の意味・わかりやすい解説

クラメール
Harald Cramér
生没年:1893-

スウェーデン数学者。ストックホルムに生まれ,ストックホルム大学に学ぶ。そこで生化学助手として研究生活をスタートさせたが,すぐに数学に転向してしまった。初期のころは解析数論の研究に励み,フーリエ積分の手法に長ずることとなった。1917年刊行の学位論文の内容もディリクレ級数に関するものである。20年からしばらく保険数理士として保険会社に職を得,そのため確率論に興味をもつようになり,中心極限定理について優れた研究を発表するようになった。29年にはストックホルム大学における初代の保険数理-数理統計学の教授に任ぜられた。P.レビと交流をもち確率法則の研究を進める一方,40年ころからは定常過程の研究に移りその基礎を築いたことはよく知られている。彼の名著《統計学の数学的方法》(1946)は,その後の数理統計学に大きな影響を与えた。50-61年の間は大学の管理運営にも携わり,学長としても信望を集めた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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