クリ(栗)(読み)クリ

百科事典マイペディア 「クリ(栗)」の意味・わかりやすい解説

クリ(栗)【クリ】

ブナ科の落葉高木。北海道〜九州,朝鮮の山野にはえ,また古くから果樹として広く栽培される。葉は長楕円形で薄い革質。6月,新枝の葉腋から長い花穂を出し,先に多数の雄花,基部に少数雌花をつける。虫媒花で花穂には特有のかおりがある。果実は堅果で,1〜3個集まっていがに包まれる。8〜10月に熟す。主要な栽培品種は200以上といわれたが,1941年ごろ発生したクリタマバチの被害のため,現在は耐虫性をもつ品種に統一されている。代表的なものに,森早生(もりわせ),銀寄(ぎんよせ),岸根(がんね),丹沢など。主産地は茨城。材は杭(くい),枕木(まくらぎ),シイタケ原木とする。中国原産のチュウゴクグリ(板栗)は,果実の渋皮がとれやすいという特徴がある。クリタマバチ被害のため日本での栽培はむずかしいが,輸入され,甘栗,天津栗の名で市販される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クリ(栗)」の意味・わかりやすい解説

クリ(栗)
クリ
Castanea crenata; chestnut tree

ブナ科の落葉高木で,山野に自生するが,果樹として広く栽植する。樹高 17m,太さ 60cm以上になる。大木になると樹皮に深い裂け目ができる。雌雄同株で,6月頃,強い香りのある白色の長い尾状花序を生じる。花序の基部には雌花を,先のほうには多数の雄花をつける。雄花は6枚の萼片と長い 10本ほどのおしべから成る。雌花は普通3個が集って鱗片状の総包に包まれている。花が終ると総包は長く鋭いとげのあるいがとなり果実を包む。果実は堅果で外側の硬い皮は果皮,内部の渋皮は種皮である。食用にする部分は肥厚した2枚の子葉である。ゆでて食べたり菓子や料理の材料とする。材は堅く家具材,土木用材,鉄道の枕木などに使われる。

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