日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリスチャン・ネーム」の意味・わかりやすい解説
クリスチャン・ネーム
くりすちゃんねーむ
Christian namebaptismal name
洗礼名。名前には、生命力、魔力、威力が宿ると信じられたから、神の名と悪霊の名を知ること、隠すこと、使うことが宗教と呪術(じゅじゅつ)の儀礼で秘儀的に操作された。人間は、アダムが楽園でしたように(「創世記」2章19)、いっさいの事物に名前をつける。キリスト教への入信儀礼である洗礼式のあと、新しい人格と資格の獲得のしるしとして、聖者名、聖書人名や信仰の徳を表現する語が動員されて命名されるが、宗教改革後は、その呪術性を否定する教派が多い。信徒の出自からの解放のモチーフが、仏教徒の戒名(かいみょう)と対応する。教名、霊名ともいう。
[川又志朗]
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