クリステバ,J.(読み)くりすてば

世界大百科事典(旧版)内のクリステバ,J.の言及

【記号】より

…彼のセミオロジーは現代ブルジョア文明の非神話化の企てから始まったが,初期の静態的な構造分析はのちに〈構造化〉への注目に取って代わられ,記号論的色彩を強める。バルトの方法論の源泉となった,フランスで活躍するブルガリア生れの記号論学者クリステバJulia Kristeva(1941‐ )は,ロシア・フォルマリズムよりもM.M.バフチンの対話と交流の思想やフロイト主義の影響のもとにテキスト相互連関性などの概念を発展させ詩的言語理論を展開するが,彼女は父性原理としての法,言語を批判して母性原理としての無意識の解放を主張する。また文学以外では経済学の批判としての経済人類学が文化人類学の影響のもとに著しい展開を見せ,在来の生産中心主義の経済思想から一転して交換と消費の新しい思想を生み出した。…

【詩学】より

…バルトの《S/Z》ではテキストの構造と現実の構造との動態的相関が分析されている。〈構造化〉への関心を推し進めたのは,ブルガリアに生まれフランスで活躍するJ.クリステバで,彼女は何よりもバフチンの美学を中心にフロイト,ラカンの思想やF.deソシュールのアナグラム研究にもとづいて詩的言語理論を展開した。彼女はテキスト(言語)が諸テキスト(諸言語)から生み出されるというバフチンの考えをテキスト相互連関性の概念で再定式化し,シニフィアンス(意味形成あるいは意味生成)の過程を重視した。…

【精神分析】より

… 一方,J.P.サルトルやM.メルロー・ポンティをはじめ現象学とマルクス主義を結合する実存主義の展開に続いて,人間の社会的活動を深層の意味構造から理解しようとする探求が生まれると,精神分析とフロイト主義は,言語学や人類学などと連動しつつ,無意識的な文化の構造を探り,人間認識の基本視座を革新する試みの思想的源泉の一つとなった。C.レビ・ストロース,M.フーコーらがそのような試みの代表者であるが,その後も思想のあらゆる分野でフロイトの新しい理解が新しい探求を触発しており,精神分析学者F.ガタリと共同する哲学者G.ドゥルーズの社会哲学的探求からJ.クリステバの記号論的探求やR.ジラールの象徴論的探求などにいたるまで,フロイトと精神分析の影響はいっそう深くひろがっている。心理学精神医学【荒川 幾男】。…

【文学理論】より

…それではこのテキストとはいったい何であるか。 この問題の解明に最も大きな貢献をしたと思われるのは,フランスの構造主義ならびにそれ以降の動きのなかで仕事をしたR.バルトとクリステバJulia Kristevaである。彼らの考えによれば,テキストには二つの次元がある。…

※「クリステバ,J.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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