クリミガ(読み)くりみが

改訂新版 世界大百科事典 「クリミガ」の意味・わかりやすい解説

クリミガ (栗実蛾)
Cydia kurokoi

鱗翅目ハマキガ科の1種。幼虫クリの実を食べるのでこの名がある。夏の終りころに羽化した成虫は,クリの実に1卵ずつ産みつける。幼虫は実を食して成長し,晩秋に成熟すると実から脱出し,土中に繭をつくってその中で越冬する。翌春蛹化(ようか)して夏に成虫となる。開張2cm内外。クリのほかカシ類の実(どんぐり)にも寄生するものと推定される。本州四国九州分布する。成虫はよく灯火に飛来する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリミガ」の意味・わかりやすい解説

クリミガ
くりみが / 栗実蛾
[学] Cydia kurokoi

昆虫綱鱗翅(りんし)目ハマキガ科に属するガ。はねの開張15~20ミリメートル。前翅灰緑色、外縁部は帯状に黒っぽい。北海道を除く日本全土に分布し、夏から秋にかけ、年1回出現する。夜行性でよく灯火に飛来する。幼虫は体長17ミリメートル内外のイモムシで、クリの実に侵入し、老熟すると実から出て、土中に繭をつくり越年する。この幼虫は翌年蛹(さなぎ)となり、夏の終わりごろに成虫が羽化する。市販のクリの実に入っているイモムシで、長い円筒形で脚(あし)が発達し、歩き回るのは本種であるが、尾部が太くて丸い感じのするのはゾウムシの幼虫である。

[井上 寛]

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百科事典マイペディア 「クリミガ」の意味・わかりやすい解説

クリミガ

クリオオシンクイガとも。鱗翅(りんし)目ハマキガ科のガの1種。開張18mm内外,灰白色で不規則な斑紋がある。日本全土,朝鮮中国,シベリア〜ヨーロッパに分布。幼虫はクリのいがの上から果実に食い入る害虫。成虫は夏から秋に現れる。
→関連項目シンクイガ

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世界大百科事典(旧版)内のクリミガの言及

【ハマキガ(葉巻蛾)】より

…この科に属するおもな害虫は次のとおりである。マツアトハマキ(マツ,モミ,スギなど針葉樹),ホソアトハマキ(リンゴ,ナシの葉),タテスジハマキ(針葉樹),ミダレカクモンハマキ(バラ,ブナ,ヤナギなどの新芽や新葉),カラマツイトヒキハマキ(カラマツ),リンゴノコカクモンハマキ(リンゴ,ナシなどの葉),チャノコカクモンハマキ(チャの樹),カンシャシンクイ(サトウキビ),リンゴハイイロヒメハマキ(リンゴなどバラ科),カラマツヒメハマキ(カラマツ),マツトビヒメハマキ(マツ類の新梢),マツアカシンムシ(クロマツ),アシブトヒメハマキ(マメ科),マメサヤヒメハマキ(マメ科),ナシヒメシンクイ(果樹),クリミガ(クリの実)。【井上 寛】。…

※「クリミガ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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