クレビヨン(英語表記)Crébillon, Claude Prosper Jolyot de

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレビヨン」の意味・わかりやすい解説

クレビヨン
Crébillon, Claude Prosper Jolyot de

[生]1707.2.14. パリ
[没]1777.4.12. パリ
フランスの小説家。 P.クレビヨンの息子で,通常クレビヨン・フィスと呼ばれる。父とは異なりその当時盛んであった好色小説を手がけた。作品のなかで実在人物に露骨に言及して投獄されたり,国王ルイ 15世を戯画化したとみなされ一時亡命を余儀なくされたこともある。卑猥で不道徳な題材を扱うにもかかわらず,皮肉にも出版検閲官に任じられたりした。作品の多くは東洋に背景をかり,当時の人物を数多く登場させ偽善をあばくなど鋭い描写をしている。主著『心の迷い,気の迷い』 Les Égarements du cœur et de l'esprit (1736) ,『ソファー』 Le Sopha (42) など。

クレビヨン
Crébillon, Prosper Jolyot, sieur de

[生]1674.2.13. ディジョン
[没]1762.6.17. パリ
フランスの劇作家公証人家柄で,法律を学ぶためパリにのぼるが,次第に演劇にひかれ劇作活動に入る。 1711年上演の悲劇『ラダミストとゼノビー』 Rhadamiste et Zénobieはボアローのきびしい批評を浴びはしたが,彼の傑作といえ,悲壮の効果と恐怖を与える手法が特徴となっている。 31年アカデミー・フランセーズ会員に選ばれ,35年には出版検閲官に任じられた。ギリシア悲劇の単純さよりロマネスクな複雑さを好み,むしろ古典悲劇を終らせる役割を果したともいえる。

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