クロガネモチ(読み)くろがねもち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロガネモチ」の意味・わかりやすい解説

クロガネモチ
くろがねもち / 黒鉄黐
[学] Ilex rotunda Thunb.

モチノキ科(APG分類:モチノキ科)の常緑高木。高さ20メートルにも達し、モチノキ属のなかではもっとも大きくなる。樹皮灰褐色、若枝は紅紫色を帯びる。葉は質が厚く、光沢があり、楕円(だえん)形、長さ5~9センチメートル。雌雄異株。花は5~6月、当年枝の葉腋(ようえき)から出た散形花序につき、淡紫色を帯びる。山野に生え、茨城県、福井県以西の本州、四国、九州、沖縄から朝鮮、中国などに分布する。モチノキに似て葉が乾くと鉄色になるのでこの名がある。材は器具材とし、樹皮からとりもちや染料をとる。庭木として普通に栽培される。

[門田裕一 2021年11月17日]


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改訂新版 世界大百科事典 「クロガネモチ」の意味・わかりやすい解説

クロガネモチ

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百科事典マイペディア 「クロガネモチ」の意味・わかりやすい解説

クロガネモチ

モチノキ

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世界大百科事典(旧版)内のクロガネモチの言及

【イヌツゲ】より

… イヌツゲに似て石果の赤いウシカバ(別名クロソヨゴ)I.sugerokii Max.とその北方系変種アカミノイヌツゲvar.brevipedunculata S.Huが南千島,北海道,本州,四国に分布し,茨城・新潟両県以西の日本と台湾,中国には赤い石果が3~5cmの柄で垂れるソヨゴI.pedunculosa Miq.が分布する。クロガネモチI.rotunda Thunb.は外観がモチノキに似るが,小枝と葉柄は紫色を帯び,暖地では庭園樹として利用される。【浜谷 稔夫】。…

【モチノキ】より

…材は淡緑白色で堅く緻密均質で光沢があるので,ろくろ細工,櫛(くし),印材とする。剪定,栽培が容易なのでよく庭園のかなめの木として用いられるが,すす病にかかりやすい欠点があり,近年はすす病に強いクロガネモチI.rotunda Thunb.(中国名,鉄冬青)の方が喜ばれる。関東,北陸から台湾,中国,インドシナまでの沿海地に多い。…

※「クロガネモチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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