クンミン(昆明)特別市(読み)クンミン(英語表記)Kunming

翻訳|Kunming

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クンミン(昆明)特別市」の意味・わかりやすい解説

クンミン(昆明)〔特別市〕
クンミン
Kunming

中国西南地方,ユンナン (雲南) 省の省都。省中央部にあるティエンチー (滇池) 盆地とその周辺を占め,市区と6県,2自治県から成る。市区はティエン (滇) 池の北東岸,標高 1890m付近にあり,北と西を山脈でさえぎられ,温暖な気候に恵まれるため,「春城」と呼ばれる。唐代は南詔国,宋代は大理国の地で,元代から省の中心地となった。清代末にベトナムのハノイ鉄道で結ばれ,日中戦争時にはビルマ (現ミャンマー) からチョンチン (重慶) に送られる軍需物資の集積地であった。周辺の諸県では米,小麦,トウモロコシ,芋類のほかソラマメ,タバコ,菜種を産し,湖沼では漁業が盛んである。鉄,コバルト,鉛,銀,リンが採掘され,西方にイーピンラン (一平浪) の炭田もあるため,工業が発達している。アンニン (安寧) 県に鉄鋼コンビナートと化学工場,チンニン (晋寧) 県にリン酸などの肥料工場がある。市区の工業は染色,自動車,綿紡織,合成繊維,製紙製糖,工作機械,化学,建築材料,オイルシェールからの製油など多岐にわたる。チョンクン (成昆) ,クイクン (貴昆) 両鉄道の終点で,クンホー (昆河) 鉄道がベトナム国境に延びている。ティエン池と,その西岸シー (西) 山は風光明美で知られ,古跡が多く,観光保養施設も充実している。住民漢族のほかイ族,ホイ族,ミヤオ族,パイ族,タイ族と多様。人口 363万 5212,うち市区人口 161万 1969 (1990) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

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