グランピアン山脈(読み)グランピアンさんみゃく(英語表記)Grampian Mountains

改訂新版 世界大百科事典 「グランピアン山脈」の意味・わかりやすい解説

グランピアン[山脈]
Grampian Mountains

イギリススコットランド中央部にある褶曲山脈地名はローマ時代にこの地域に居住していたピクト人の部族名に由来し,単にグランピアンズThe Grampiansとも呼ばれる。イギリス最高峰ベン・ネビス山(1343m)が北西部に位置する。北西高地とともにハイランド地方を構成するが,両者グレンモアの地溝帯で分断され,また南は断層崖によって中央低地と明瞭に区分される。カレドニア造山運動によって形成されたため,結晶片岩,片麻岩,花コウ岩が中心で,北東南西の走向をもつ。その後洪積世氷河の浸食を受け,多数のU字谷や氷河湖が発達する。粗放的牧羊が行われるが,レクリエーション地帯として夏には観光客が多い。84年にローマのアグリコラ総督がピクト人を破った戦場としてタキトゥスが伝えるグラウピウス山Mons Graupiusはこの山脈中にある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グランピアン山脈」の意味・わかりやすい解説

グランピアン山脈
グランピアンさんみゃく
Grampian Mountains

イギリス,スコットランド中央部を北東-南西に延びる山脈。全長約 160km。南西端部にイギリスの最高峰ベンネビス山 (1343m) がある。広義には,北は現在カレドニア運河が通るグレンモアと呼ばれる大断層谷,南は北海沿岸のストーンヘーブンとクライド川沿岸のダンバートンを結んだ線にはさまれた地域全体をさし,グランピアン高地 Grampian Highlandsとも呼ばれる。古生代にカレドニア造山運動によって形成された褶曲山脈で,花崗岩,片麻岩などから成り,スコットランドで最もけわしい地形を示すが,大部分は標高 1000m以下である。氷食により形成された湖や谷が多数あり,これらは大西洋にのぞむ西端でフィヨルドを形成,海岸線は複雑に入組む。南東斜面では牧羊が盛ん。地名はローマの歴史家タキツスがローマの将軍アグリコラの戦勝の地として記したグラウピウス山に由来。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グランピアン山脈」の意味・わかりやすい解説

グランピアン山脈
ぐらんぴあんさんみゃく
The Grampians

イギリス、スコットランド北部の山脈。氷食を受け、イギリスでもっとも険しい山脈で、北東―南西方向に峰々が160キロメートル以上にわたって続いている。先カンブリア紀の片麻岩(へんまがん)や花崗岩(かこうがん)類よりなり、イギリス最高峰のベン・ネビス山(1343メートル)、ベン・マクズイ山(1311メートル)など1000メートルを超す高峰が連なっている。

[小池一之]

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