グラン・チャコ
ぐらんちゃこ
Gran Chaco
南アメリカ中央部、アンデス山脈とブラジル高原の間に横たわる標高500メートル以下の平野。ボリビア南東部、パラグアイ西部、アルゼンチン北部(南緯30度以北のパラナ川西岸)にかけて広がる。アンデス山脈に発し南東流するピルコマヨ川やサラド川などの河川が堆積(たいせき)した土砂からなる平野で、湖沼や低湿地、また雨期に定期的に浸水する部分も多い。東縁部を除き年降水量600~1000ミリメートルで顕著な乾期の存在と夏季の高温を特徴とする半乾燥気候下にある。おもに落葉性の低灌木(かんぼく)林が広がっているが、局部的には草原やサバナ植生もみられる。灌木林中に自生するケブラチョの木はタンニンの原料および用材として経済的価値が大きい。アルゼンチンのパラグアイ川、パラナ川西岸地方で綿花栽培が盛んなほかには目だった農業地域はなく、その大部分は粗放的な牧場ないし未開の原野である。
[松本栄次]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
百科事典マイペディア
「グラン・チャコ」の意味・わかりやすい解説
グラン・チャコ
南米,アルゼンチン北部からボリビア,パラグアイにわたる大平原。アンデス山脈とパラグアイ川流域の間に南北に連なる低平なサバンナ地域。ピルコマヨノリ以北の地域は,19世紀以来ボリビア,パラグアイの係争地で,1920年に石油が発見され,チャコ戦争に発展した。メノー派の入植地がある。アルゼンチン領チャコでは,東部はケブラチョ(タンニン原木)や綿花が栽培されるが,西部の開発は進んでいない。
→関連項目パラグアイ
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
世界大百科事典(旧版)内のグラン・チャコの言及
【チャコ】より
…グラン・チャコGran Chacoともいい,南アメリカ大陸の中央部にある広大な平原。東はパラグアイ川,西はアンデス山麓に達する沖積平野で,ピルコマヨ川以北のチャコ・ボレアルと以南のアルゼンチン領チャコに大別される。…
【パラグアイ】より
…高度は平原部の標高80m前後からパラナ高原の700~800mに及び,比較的降雨量が多く豊かな森林地帯が広がっている。西パラグアイは国土の60%を有するきわめて人口過疎な地域で,グラン・チャコ地方と呼ばれる。北西部から南東部にかけて大平原が広がり,乾燥した変化に乏しい疎林地帯となる。…
※「グラン・チャコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」