グレトナ・グリーン婚(読み)グレトナ・グリーンこん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グレトナ・グリーン婚」の意味・わかりやすい解説

グレトナ・グリーン婚
グレトナ・グリーンこん

グレトナ・グリーン Gretna Greenは,イングランドカーライルという町からわずか 16km北上したところにある,イングランドから最も行きやすく便宜なスコットランドの村である。その村のはずれでイングランドに一番近い鍛冶屋親方とその弟子とを立会人とし,その場で婚姻する旨の合意の言葉をかわしただけの婚姻を,グレトナ・グリーン婚という。スコットランド法では,これでも適式の婚姻である。イングランド法 Lord Hardwick's Marriage Act (1753) によれば,婚姻するには,両親の同意,司祭による挙式,婚姻予告の公示などを行うことが要求されていた。そこで,このような厳格で煩雑なイングランド法上の方式に従うことができない場合,あるいは従いたくない人々が,イングランドから鍛冶屋におもむき,簡便な方式で婚姻を行なった。それは一種の法律の回避であったが,イングランドの法廷はこれを少くとも方式上は有効であると判示したため (Crompton v. Bearcraft1768) 多数の人々がこれを利用して有名となった。これを一般原則の形にすると,婚姻の方式はその挙行された場所の法による (参照法例 13条2項) ということになる。婚姻が行われた場所の法律に従っていればよく,その場所へ行った目的意図問題ではないとされるのである。

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