ケアリー(英語表記)Joyce Cary

精選版 日本国語大辞典 「ケアリー」の意味・読み・例文・類語

ケアリー

(Henry Charles Carey ヘンリー=チャールズ━)⸨ケアリ⸩ アメリカの経済学者。国民主義の立場から、スミスリカードマルサスなど古典学派を批判し、保護貿易論を主張した。主著「経済学原理」「社会科学原理」。(一七九三‐一八七九

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改訂新版 世界大百科事典 「ケアリー」の意味・わかりやすい解説

ケアリー
Joyce Cary
生没年:1888-1957

イギリス小説家ロンドンデリー生れ。パリで美術を学んだのち,1912年オックスフォード大学を卒業。志願して1912-13年のバルカン戦争に参加。13年イギリス領ナイジェリアの役人となり,ナイジェリア連隊の一員として第1次大戦に参加。20年イギリスに帰り作家修業を開始。アフリカ娘の改宗を扱った《救われたエイサ》(1932)をはじめ,ナイジェリアでの経験に基づく《アフリカの魔女》(1936),《ミスター・ジョンソン》(1939)などでしだいに認められる。〈イギリス人の目で見た過去60年のイギリスの歴史〉を扱った三部作《彼女も驚いた》(1941),《巡礼》(1942),《馬の口》(1944)で文名を確立した。作中人物の動きがはやく,性格描写や物語性を重んじる点で,デフォー,スモレット,ディケンズなどのイギリス小説の伝統に直結する。このほか《アフリカの自由》(1941),《大英帝国と西アフリカ》(1946),《芸術と現実》(1958)などの評論もある。
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ケアリー
Thomas Carew
生没年:1594-1639

イギリスの宮廷詩人。17世紀イギリスの詩的世界を二つに分けた流派,すなわちB.ジョンソン一派とJ.ダン一派のうち,前者に属し,また王党派詩人Cavalier lyristsを代表する一人であった。とはいうものの,ダンが死んだとき有名な《ジョン・ダン博士の死をいたむ哀歌》(1633)を世に問い,その思想内容においても措辞においても,形而上詩に対する深い理解と強い同質性を示している。力作の宮廷仮面劇《ブリタニアの空Coelum Britannicum》(1633)は,議会派やピューリタンたちの圧力に押されて後退を続けるチャールズ1世宮廷への,ひそかな挽歌となっている。ケアリーは,本来,小意気な恋愛小曲風の詩で宮廷にもてはやされていたが,1639年の司教戦争では病弱の身を押して国王軍に従い,まもなく没した。その悲しげにさめた詩風は,ピューリタン革命という嵐にゆらめく,宮廷文化の灯のはかなさであった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケアリー」の意味・わかりやすい解説

ケアリー
Carey, Mathew

[生]1760.1.28. ダブリン
[没]1839.9.16. フィラデルフィア
アメリカの出版業者,政治評論家。アメリカ国民経済開発政策初期の解説者,唱道者として最もよく知られる。 H.C.ケアリーの父。初め印刷業にたずさわったのちダブリンで新聞を編集,イギリス政府のアイルランド・カトリック教徒圧迫に反対したため迫害を受けてパリに逃れ,B.フランクリンのもとで働き,M.ラ・ファイエットを知った。 1784年アメリカに渡り,ラ・ファイエットの援助を得てフィラデルフィアで新聞を発行。 90年頃出版・書籍販売業に転じ,ヨーロッパ,アメリカの著作を多数出版してアメリカ文芸の成長に寄与した。また,フィラデルフィア全国産業促進協会の発起人となり,保護貿易論を主唱。アメリカの運河,高速道路,鉄道の発展は彼の宣伝活動に負うところが大きい。

ケアリー
Carey, Henry Charles

[生]1793.12.15. フィラデルフィア
[没]1879.10.13. フィラデルフィア
アメリカの経済学者,社会学者。著名な出版業者であった M.ケアリーの子。初め出版業に従事し (1817~35) ,その間に形而上学,心理学,社会学などを学び,1835年退職後はもっぱら研究と著述の生活をおくった。その経済理論は協力原理を特色としており,これに基づいて労使の利益調和論や農業,工業の調和のとれた均整経済論などを主張した。最初は古典派の立場をとっていたが,42年以降は国民主義派へと転じて保護貿易を唱え,アメリカ体制派経済学を確立した。主著『経済学原理』 Principles of Political Economy (3巻,37~40) ,『社会科学原理』 The Principles of Social Science (3巻,58~60) 。

ケアリー
Cary, John

[生]?
[没]1720?
イギリスの商人,経済学者。初め西インドの砂糖貿易に従事していたが,次第に経済理論に興味をもつようになった。その経済思想重商主義の立場に立つもので,イギリス国内産業,とりわけ毛織物工業の振興を主張し,かつ植民地を積極的に原料供給地,製品市場と位置づけるものであった。こうした立場から彼は,当時イギリスに加工絹糸やキャラコをもたらしていた東インド貿易をイギリスの羊毛製品の消費を妨害するものとして批判し,イギリスからの羊毛原料の輸出の禁止,精製加工品の輸入の制限を主張した。また国内貧民の救済も産業興隆のために必要であるとし,授産場の設置や高賃金説を唱えた。主著『イギリス貿易論』 An Essay on the State of England in Relation to its Trade,its Poor and its Taxes (1695) 。

ケアリー
Cary, (Arthur) Joyce (Lunel)

[生]1888.12.7. 北アイルランド,ロンドンデリー
[没]1957.3.29. オックスフォード
イギリスの小説家。エディンバラ美術学校を経てオックスフォード大学卒業。第1次世界大戦中アフリカで負傷,その後施政官としてナイジェリアに勤務。 1920年からオックスフォードに定住して創作に専念。代表作の3部作,『自分でもびっくり』 Herself Surprised (1941) ,『巡礼となる』 To Be a Pilgrim (42) ,『馬の口』 The Horse's Mouth (44) は,ある画家とその周囲との対立をテーマとし,『恩寵の囚人』A Prisoner of Grace (52) 以下の次の3部作では政治家の生活を通してイギリス社会を描いた。ほかに,短編集『春の歌』 Spring Song (60) や評論『芸術と現実』 Art and Reality (58) など。

ケアリー
Carey, William

[生]1761.8.17. ノーサンプトンシャー
[没]1834.6.9. セランプール
イギリスのバプテスト教会の牧師,東洋学者。インドに医師 J.トーマスとともに派遣されてインドにおける近代伝道活動のパイオニアとなった (1793) 。ベンガルで活動,次いでセランプールに家族とともに居住し,J.マーシュマン,W.ウォードとともに伝道活動を行い,輝かしい成功を収めた。伝道のかたわら,フォート・ウィリアム大学のサンスクリット語,ベンガル語,マラータ語の教授となり,文法書,辞書 (『サンスクリット語文法』 Sanscrit Grammar,『ベンガル語-英語辞典』 Bengalee-English Dictionary) を著作,また聖書をベンガル語その他に訳した。

ケアリー
Carew, Thomas

[生]1594/1595. ケント,ウェストウィカム
[没]1640.3. ロンドン
イギリスの詩人。カルーとも呼ばれる。オックスフォード大学卒業後,大使の秘書となってイタリアに滞在,のちハーバート卿に従ってパリへ行き,1630年チャールズ1世の宮廷に仕えた。 B.ジョンソンの流れをくむ王党派詩人として,ことに恋愛小曲に長じたが,またダンの奇想にも心を寄せ,彼の追悼詩を書いた。多くの歌謡や抒情詩のうちで『恍惚』A Raptureが特に有名。

ケアリー
Carey, Henry

[生]1687?
[没]1743
イギリスの詩人,作曲家,オペラ作家。作品は喜歌劇『ウォントリーの竜』 The Dragon of Wantley (1734) など。

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百科事典マイペディア 「ケアリー」の意味・わかりやすい解説

ケアリー

オーストラリアの作家。カウンターカルチャーを代表する存在。初めコピーライターとして活躍,広告会社も経営した。短編作家としてデビューし,1980年代から長編に転じ,とくに《イリワッカー(ペテン師)》(1985年)は英国をはじめ海外でも絶賛された。以後《オスカーとルシンダ》(1988年,英国ブッカー賞受賞),《税金査定人》(1991年),《トリスタム・スミスの奇妙な生涯》(1994年)を発表。

ケアリー

英国の小説家。オックスフォード大学卒。ナイジェリアで官吏を務めたのち著作に専心。《救われたエイサ》(1932年),貧乏画家を描く三部作《彼女も驚いた》(1941年),《巡礼》(1942年),《馬の口》(1944年)などのほか評論もある。

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