改訂新版 世界大百科事典 「ケイ(珪)灰石」の意味・わかりやすい解説
ケイ(珪)灰石 (けいかいせき)
wollastonite
化学成分CaSiO3の鎖状構造をもつ準輝石に属する三斜晶系の鉱物。比重2.92,モース硬度4.5~5,融点1512℃,白色繊維状あるいは細粒結晶の集合塊。へき開は{100}に顕著,{001}や{102}にも強い。ほかに単斜晶系のパラケイ灰石parawollastoniteをはじめいくつかの多型構造がある。1150℃以上では同質異晶の3員環(SiO3)3構造をもつ偽ケイ灰石pseudowollastoniteに転移する。石灰岩中の貫入岩による接触変成作用から生ずるのが一般的で,高度の広域変成作用によっても生ずる。共生鉱物として方解石,ザクロ石,透輝石,ベスビアナイトがある。マンガン,鉄,マグネシウムなどをわずかに固溶するが,一般に組成は一定している。工業的には釉薬や絶縁碍子に用いられる。
執筆者:山中 高光
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