ケイ(珪)酸ナトリウム(読み)けいさんナトリウム

改訂新版 世界大百科事典 「ケイ(珪)酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

ケイ(珪)酸ナトリウム (けいさんナトリウム)
sodium silicate

ケイ酸のナトリウム塩。種々の組成のものが知られている。最もふつうにはメタケイ酸ナトリウムNa2SiO3をさす。石英粉末を炭酸ナトリウムと1000℃で共融すると無水和物が得られ,新しく沈殿させた二酸化ケイ素を計算量の水酸化ナトリウムと反応させると水和物が得られる。無水和物は無色斜方晶系の結晶。融点1088℃。水に容易に溶け,水溶液加水分解して強いアルカリ性を示す。水溶液からはNa2SiO3の各種の水和物が得られる。オルトケイ酸ナトリウムNa4SiO4は二酸化ケイ素と水酸化ナトリウムとの共融で得られ,無色六方晶系,融点1018℃の結晶。屈折率1.530。水に可溶。以上のほかに,融体からNa2Si2O5(二ケイ酸ナトリウム),Na2Si4O9(四ケイ酸ナトリウム)などが得られている。いわゆる水ガラスwater glassはこれらのケイ酸塩の濃厚水溶液で,きわめて粘度の高い透明な液体である。ケイ酸ナトリウムはうわぐすりに利用するほか,水ガラスとして無機質接着剤,木材防火剤などに用いられる。
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百科事典マイペディア 「ケイ(珪)酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

ケイ(珪)酸ナトリウム【けいさんナトリウム】

通常はメタケイ酸のナトリウム塩Na2SiO3をいうが,その他Na4SiO4,Na2Si2O5,Na2Si4O9などがある。メタケイ酸ナトリウムは二酸化ケイ素を炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムと融解して得られる無色の結晶。融点1088℃。水に可溶で,水溶液は加水分解してアルカリ性を示す。濃水溶液は水ガラスという。

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