ケッセル(英語表記)Joseph Kessel

精選版 日本国語大辞典 「ケッセル」の意味・読み・例文・類語

ケッセル

(Joseph Kessel ジョゼフ━) フランス作家ジャーナリストから作家に転じ、ロシア革命に取材した「赤い草原」でデビュー。記録風な描写と、強烈な人間の本能追求を特色とする。作品に「昼顔」「幸福の後に来るもの」など。(一八九七‐一九七九

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改訂新版 世界大百科事典 「ケッセル」の意味・わかりやすい解説

ケッセル
Joseph Kessel
生没年:1898-1979

ランスの小説家,ジャーナリスト。ユダヤ系ロシア人を父としてアルゼンチンに生まれ,ロシアとパリで学んだ。パリで第1次大戦にあい,新聞記者として活動をはじめるとともに空軍に志願して空中戦を経験した。この時に知った闘う男の友情が以後の作品の主要なテーマとなる。作家としてはロシアを舞台とする《赤い草原》(1922)が処女作,《プリンスたちの夜》(1928)ではアカデミー賞を受賞。一方《搭乗員》(1923)から《空の大隊》(1946)にいたる戦争小説で人気を博した。報道記者として世界各地の戦乱に立ち会い,異郷風物を見聞した経験がその文学作品の根幹をなしている。ケニアを舞台とした《ライオン》,イスラエル建国の冒険を描く《愛と火の土地》のほか,第2次大戦を題材とする作品も多い。大戦中,彼自身はド・ゴールの〈自由フランス〉運動に加わっている。歴史絵巻を生彩ある筆致で描く作家として知られるが,一方では《昼顔》(1929)のように異常心理を扱った作品もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケッセル」の意味・わかりやすい解説

ケッセル
けっせる
Joseph Kessel
(1898―1979)

フランスの小説家。ユダヤ系ロシア人としてアルゼンチンに生まれる。ロシア、フランス両国で教育を受けてジャーナリストとなる。第一次世界大戦中は航空士官、その後シベリア踏査などに参加。以後世界各地の大事件をルポルタージュする。その体験から『赤い草原』(1922)、『搭乗員』(1923)を書いて認められ、またスペイン内乱、抗独レジスタンス体験から、『影の軍隊』(1946)、両大戦間期の壮大なパノラマ『幸福の後に来るもの』(1950)、イスラエル建国の物語『愛と火の大地』(1961)、アフガン戦士の冒険『騎兵』(1968)などを書いた。つねに激動のなかに身を置いて冒険の精神を生きた著者の作品は、いずれも世界のリアルな描写のうちに、行動に輝く生命を表現している。また人妻の売春を主題に特異な心理を描く『昼顔』(1928)、人と動物の心を描く『ライオン』(1958)などを含め、多産な創作活動を示した。アカデミー・フランセーズ会員。

[小林 茂]

『堀口大学訳『昼顔』(新潮文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケッセル」の意味・わかりやすい解説

ケッセル
Kessel, Joseph

[生]1898.2.10. アルゼンチン,クララ
[没]1979.7.23. パリ近郊アベルヌ
フランスの小説家,ジャーナリスト。ロシア人の両親をもち,最初ロシアで教育を受けた。ロシア革命に取材した『赤い草原』 La Steppe rouge (1922) ,飛行士体験を小説化した『搭乗員』L'Équipage (23) を発表して注目された。次いで『王侯の夜』 Nuits de Princes (23) ,『昼顔』 Belle de jour (29) などにより作家としての地位を確立。第2次世界大戦中は対独レジスタンスに参加。解放後,その体験を4巻の大作にまとめたのが『幸福のあとに来るもの』 Le Tour du malheur (50) で,ジャーナリストとしての冷静な観察眼と豊かな想像力がとけあって,大衆的な一種の行動文学を生み出している。アカデミー・フランセーズ会員 (62) 。

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デジタル大辞泉プラス 「ケッセル」の解説

ケッセル

《Kessel》アメリカのSF映画「スター・ウォーズ」シリーズに登場する架空の星。アウター・リムに位置し、スパイス鉱山をもつ惑星。惑星周辺はアッカディーズ・メイルストロームと呼ばれる危険宙域だが、密輸業者たちはケッセル・ランと呼ばれる短縮航路を使用する。

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百科事典マイペディア 「ケッセル」の意味・わかりやすい解説

ケッセル

フランスの作家。アルゼンチン生れのロシア系。冒険と行動の小説が特色。作品は《とらわれの人びと》《王侯たちの夜》,《昼顔》(1929年),《幸福の後に来るもの》4巻(1950年)など。

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