ケッヘル(英語表記)Ludwig von Köchel

改訂新版 世界大百科事典 「ケッヘル」の意味・わかりやすい解説

ケッヘル
Ludwig von Köchel
生没年:1800-77

ケッヘル番号〉にその名を残しているオーストリアモーツァルト研究家。ウィーン大学出身で,植物学鉱物学の研究家としても知られたが,その名を不朽にしたのは,1862年に刊行した《モーツァルト全音楽作品年代順主題目録Chronologischthematisches Verzeichnis sämtlicher Tonwerke W.A.Mozarts》である。膨大な数にのぼるモーツァルトの作品の原資料の徹底的な調査研究整理によって作成されたこのケッヘルのモーツァルト作品目録は,それまで困難であったこの作曲家の作品の確認を容易にし,作品に関する情報を詳細に提供しているもので,以後の作曲家作品目録のモデルとなった。最初の作品とされたK1から《レクイエム》K626まで年代順に記述したため,A.アインシュタインによる修正(第3版,1937)をへて,現在第6版(1964)の番号を加えた二重番号制がとられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケッヘル」の意味・わかりやすい解説

ケッヘル
けっへる
Ludwig Alois Friedrich Köchel
(1800―1877)

オーストリアの音楽研究家。1827年ウィーン大学で法学士となったのち、植物学、鉱物学に興味をもち、双方の専門家として広く世に認められるに至った。しかし、51年、友人の出版したモーツァルトに関する不備な小冊子を見たのがきっかけとなり、モーツァルト作品の年代順目録の編纂(へんさん)を思い立った。『モーツァルトの全音楽作品の年代順主題目録』(1862)において彼の付した通し番号は、いわゆる「ケッヘル番号」として、その後改訂を重ねながら、モーツァルトの作品に用いられている。ほかに音楽史関係の著作数編があり、ウィーンに没した。

[大崎滋生]

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世界大百科事典(旧版)内のケッヘルの言及

【モーツァルト】より

…また19世紀半ばには生地ザルツブルクにモーツァルトの芸術の保護振興を目的とする機関(現在の国際モーツァルテウム財団)が設けられ,モーツァルト音楽祭(現在のザルツブルク音楽祭やモーツァルト週間)が企てられた。さらにモーツァルトの作品の目録(L.vonケッヘルによる《モーツァルト全作品目録》1862。K.(ケッヘル番号)はその番号,K.6は第6版の番号)が作成され,そして全作品を網羅する《モーツァルト全集》が刊行された。…

※「ケッヘル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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